「もう、関係を断ちたいと思っていました」

柔らかな光が差し込む窓辺の画像

――娘との距離に悩むお母さまが、自分自身を取り戻していくまで

Self Portrait セッション・子育て編|体験ストーリー

今回は、Self Portrait セッションで子育てのご相談を受けられたYさまの体験を、ご了承のもとご紹介します。

子どもが成人し、結婚し、親になったあとも、なお「親」としての役割を求められ続けることがあります。

「このままでは、私のほうが壊れてしまいそうで……」

そんな言葉とともに、Yさまはセッションに来てくださいました。

初回では、娘さんとの関係の中で感じてきた苦しさや戸惑い、そして、これまで積み重ねてきた時間について、ゆっくりとお話を伺いました。

明るさの奥にあった我慢

Yさまは、ぱっと見た印象はとても明るく、はつらつとした方です。

けれどお話を聞いていくうちに、娘さんとの関係の中で、長い間、言わずに飲み込む選択を重ねてこられたことが伝わってきました。

「お孫さんファースト」の日々の中で

娘さんが出産されてからは、生活の中心は完全に「お孫さんファースト」になったそうです。

バースデーを祝う家族旅行では、屋外での撮影中、Yさまたち祖父母は残暑の炎天下で長時間待つことになりました。

別の日には、孫のお世話のため娘さんの車に同乗したものの、後部座席で暑さを我慢しながら待つことに。「エアコンをつけてほしい」と言うことすら、「言ったら怒られるかもしれない」と感じて、言葉を飲み込んでしまったそうです。

頼られているのか、振り回されているのか

また、ベビー用品の購入依頼や「泊めてほしい」という連絡も頻繁に入るようになりました。そのたびにYさまは、掃除をし、準備を整え、受け入れてきました。

けれど、泊めている間に突然怒って帰ってしまったり、家の中の細かなことに不満をぶつけられたりすることもあったそうです。

「してあげても、なぜか責められてしまう」

そんな体験が重なり、心がすり減っていったのだと思います。

幼い頃から見えていた気質

娘さんのこうした振る舞いは、小さい頃から見られていたそうです。

年少の授業参観では、「集まりたくない人はどうすればいいの?」と一人で離れて歩いていたり、学生時代には校則違反で指導を受けたこともありました。

Yさまの職場に忘れ物を取りに来たときも、あいさつはなく、無言で「あれ」と手を差し出す――そんな場面もあったそうです。

一筋縄ではいかない気質を感じながらも、Yさまはその都度、できる形で受け止めてこられました。

気質という視点で見えてきた関係性

お話を伺う中で、娘さんの気質をエニアグラムでいう「タイプ4的な傾向」として捉えると、いくつかの構造が見えてきました。

感情の動きが大きく、自分らしさを大切にする一方で、安心できる相手には、無意識に甘えが強く出やすい。

Yさまに対しては、「お母さんならわかってくれる」「叶えてくれて当たり前」という前提が、少しずつ形づくられていったようにも感じられました。

それは、Yさまが愛情をもって応じてきた結果でもあり、親として、関係を保つための一つの選択だったとも言えます。

いま、親子関係の区切りを考えるタイミング

ただ、娘さんはいま、ひとりの母親として家庭を築いています。

この段階で必要なのは、「これ以上は引き受けない」という線を引くことかもしれません。

「うちにはうちの生活があるから、泊めてあげられない」
「あなたの家庭で必要なものは、あなたたちで整えてね」

そんな言葉を、感情的にならず、淡々と伝えていく。

反発が起きる可能性もあります。それでも線を守ることで、娘さんの中に「自分で引き受える」という感覚が育っていきます。

「娘は変わらないですよね」

この時間の中で、Yさまが少しずつ口にされる言葉が変わっていきました。

「娘は変わらないんですよね」
そう前置きしたあとで、静かにこうおっしゃったのです。

「やっぱり、娘を変えようとするより、自分が変わることなんですね」

人は、他人を変えることはできません。
けれど、自分の感じ方や、反応のクセに気づくことはできます。

自分はどんなときに我慢しやすいのか。
どこで線を引くのが苦手なのか。
それを言葉にしていくことで、
これまで当たり前だと思っていた関係性に、少し距離が生まれます。

距離が生まれると、「選べる余地」が生まれます。

結び:自分を描きなおす時間として

この体験は、特別な誰かの話ではありません。

親として一生懸命向き合ってきたからこそ、「もう限界かもしれない」と感じる瞬間は、誰にでも訪れます。

自分を知ることは、反省することでも、正すことでもなく、これまでの選び方に理由を与えてあげること。

そして、これからの人生をどう歩くかを、もう一度選び直すことです。

いま、子どもとの関係に戸惑いを感じている方に、この物語が、静かなヒントとして届けばうれしいです。

最後に、Yさまの言葉をご紹介します。

最初は娘のことばかり話していたのに、最後には「私が変わればいいんだ」という気持ちになっていた自分にびっくりしました。自分の気質を知るって、こんなに整理がつくものなんですね。次回、自分のこともちゃんと見つめてみたいと思います。

本記事は、セッションの中で見えてきた関係性の構造と心の動きを、ご了承のもと、物語として再構成したものです。

この体験は、Self Portrait セッションの中で生まれました。
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