走り続けてきた。だけど、ふと立ち止まりたくなるときがある
「この目標、ぜったい達成してみせる」
「評価されることで、自分の存在を証明できる気がする」
「“頑張ってる自分”を見せていれば、大丈夫なはず」
そんなふうに、“前へ、前へ”と走り続けてきた感覚、あなたにもありませんか?
周囲の期待を察して応え、自分を魅力的に見せて、結果を出す。その姿はまさに、達成のプロフェッショナル。
けれど、ときどきふと、「私って、本当は何がしたいんだっけ?」と心がつぶやく。
そんな風に感じたとき、あなたはエニアグラム・タイプ3の気質を持っているのかもしれません。
※ 冒頭のイメージ画像は、タイプ3の気質を象徴的に表したものです。職業や肩書きにかかわらず、誰もがどのタイプにも当てはまる可能性があります。
「デキる自分」と「本当の自分」のあいだで揺れる気持ち
タイプ3は、「成果を出してこそ価値がある」と信じてきた人。
その背景には、「頑張っているあなたが好き」と言われた経験や、「結果を出さなければ認められない」と感じた記憶があるかもしれません。
だからこそ、こんなふうに感じることがあるのではないでしょうか?
- 人から見られていると、つい“がんばる自分”を演じてしまう
- 成果が出ないと、自分が空っぽのように思えて苦しくなる
- 「止まったら、何者でもなくなってしまいそう」と不安になる
- 自分が本当にやりたいことが、わからなくなるときがある
あなたの中には、「期待に応えたい」「認められたい」という思いと、「ほんとうの自分を見つけたい」「もう少しラクになりたい」という思いが、ゆれ動いているのかもしれません。
タイプ3の気質とは?
基本的な特徴
タイプ3は、目標に向かってまっすぐに突き進むエネルギーを持っています。
その行動力は、人を動かし、場をリードする力にもなります。
- 結果を出すための戦略思考
「今、何をすべきか」に的確にフォーカスできる - 周囲を惹きつける魅力
場に合わせて自分を演出し、人の心をつかむのが得意 - 高い自己管理能力
努力を努力と思わない、ストイックな一面も - 評価や称賛に敏感
「がんばりが伝わること」が原動力になる - 内心は不安を抱えやすい
成果が出ないと、自分の存在価値まで揺らいでしまうことも
これらはすべて、あなたが「よりよく生きたい」と願ってきた証です。
でも、もしその努力が「誰かの期待のため」にすり替わっていたとしたら、少しだけ立ち止まってみてもいいのかもしれません。
心の奥にある「恐れ」
タイプ3の人が心の奥で恐れているのは、「価値のない人間と思われること」です。
人よりも劣っている、自分には何の意味もない――そんなふうに感じることに、大きな不安を抱えています。
それは、失敗や無能さへの恐れとなって表れ、つねに「成果を出さなければ」「期待に応えなければ」と、自分を奮い立たせているのです。
表面的には自信に満ちていても、心の奥には「ありのままの自分では認められないのでは?」という繊細な不安が潜んでいます。
行動を促す「動機」
タイプ3の原動力は、「成果を上げ、価値ある存在として認められたい」という思いです。
どんなときも目標に向かって努力し、周囲の期待に応えるためにスピード感をもって動きます。
それは単なる名誉欲ではなく、「結果を出すことで誰かの役に立ちたい」「周囲の期待に応えたい」という、社会性の強いモチベーションでもあります。
「成功している姿を見せること」が、人とのつながりを築く手段になっているのです。
日常の「焦点」と「行動パターン」
タイプ3の人の意識は、つねに「目標」と「成果」に向いています。
どんな状況でも効率を重視し、どうすればうまくいくか、どんな方法なら成果が最大化できるかを考えています。
そのため、時間の使い方が上手く、段取り力も高い一方で、「ムダ」や「非効率」には強いストレスを感じやすい傾向もあります。
また、自分がどう見られているかにも敏感で、状況に応じて自分を柔軟に演出する力を持っています。
タイプ3の強みと可能性
タイプ3は、「実現する力」の持ち主。
思いをかたちにし、目に見える成果へとつなげていく、行動の旗手です。
- 「行動と結果」で世界を変える推進力
- 周囲を巻き込み、目標に向かって鼓舞する力
- 効率的に物事を運ぶスマートさと柔軟性
あなたの前進する力は、そのままで大きな価値があります。目標に向かって走るその姿は、人を動かし、希望を生み出します。
だからこそ、「見せかけの自分」ではなく、「ほんとうの自分」とつながるとき、あなたの力はさらに深く、広く、世界に届いていきます。
他タイプとの違いで見える、タイプ3らしさ
エニアグラムの面白さは「違いを知ることで、自分の輪郭がくっきりする」ところにあります。他のタイプとの違いを知ることで、タイプ3のあなたの強みや癖が、より浮き彫りになるでしょう。
たとえば…
タイプ9は、周囲と調和することを最優先にしますが、タイプ3は自分から動いて状況を動かし、目標達成に向けて率先して行動します。
タイプ6は、最悪の事態を想定して慎重に進みますが、タイプ3はまずやってみる、挑戦してみるという前向きさと決断力を持っています。
タイプ2は、他人のために尽くすことを大切にしますが、タイプ3は「自分がどう役立てるか」「どうすれば価値ある存在になれるか」という視点から、成果を通じて人に貢献していくタイプです。
「こんな自分でも大丈夫かも」と思えたとき、がんばり続けてきた心に、そっと安心が訪れるかもしれません。
まとめ
タイプ3のキーワード
恐れ | 無価値であること、失敗すること |
欲求 | 成功し、他者に価値を認められること |
焦点 | 結果、成果、効率、評価 |
戦略 | 他者に合わせて自分を演出し、成果で愛を得ようとする |
強み | 達成力、柔軟性、プレゼン力、自己管理能力 |
落とし穴 | 自己喪失、見せかけの自己、過剰な競争意識 |
タイプ3かな?と思ったあなたへ
がんばれば、成果が出る。評価されると、もっとがんばりたくなる。そんな風に、目標に向かって前進し続けてきたあなた。
でもふと、「本当の自分って、どこにいるんだろう?」と感じる瞬間はありませんか?
タイプ3のあなたは、エネルギッシュで、結果を出す力に長けた人。周囲に希望や活気を与える存在でもあります。
でも同時に、「成功していなければ価値がない」と感じてしまう、孤独なプレッシャーも抱えているかもしれません。
もし少しだけ立ち止まることができたら、「誰かの期待に応える自分」ではなく、「本当の自分の願い」に目を向けてみてください。そこには、成果や称賛とは別の、本質的な充足感があるかもしれません。
自分のペースで、自分らしいあり方を取り戻すヒントを、エニアグラムの視点から一緒に見つけていきましょう。