小さな調停者
タイプ9の平和を守る心を知る
みんなで何かを決める場面で、自分の意見を言わずに、にこっと笑って「どっちでもいいよ」と答える子がいます。
遊びの内容、席順、順番決め。
まわりが少しざわついていても、空気を読みながら、静かに様子を見ている。
そんな姿を見て、「やさしい子だな」と感じることもあれば、「もっと主張してもいいのに」と心配になることもあるかもしれません。
このページでは、そうした子どもの姿を手がかりに、エニアグラムのタイプ9(調停者)という視点から、その内側にある感じ方を見ていきます。
タイプ9の気質をひもとく
穏やかさの奥にある、本当の気持ち
タイプ9の子は、こんな子です
すべてが当てはまらなくても大丈夫。「これ、うちの子っぽいかも」と感じるところがあれば、それがひとつのヒントです。
- 人との間に緊張が生まることに、とても敏感
- みんなの様子を見ながら、自分の立ち位置を決める
- 「どっちでもいい」「それでいいよ」と言いがち
- おっとりしていて、安心感のある雰囲気を持っている
- 穏やかな状態が続くと、心も体も落ち着く
一見すると、おだやかで、自己主張の少ない子に見えるかもしれません。
でもその奥には、「この場がこわれてほしくない」「みんなとつながっていたい」という、切実でやさしい願いがあります。
タイプ9の子に見られやすい行動パターン
タイプ9の子どもには、こんな姿が見られることがあります。
- 聞き役に回り、自分の意見を言わないことが多い
- 「本当はどうしたい?」と聞かれると、少し困ったように黙ってしまう
- 流れや場の空気を優先して、不満や違和感があっても飲み込んでしまう
- 意見が分かれる場面や決断を急がれる状況で、動きが止まる
- その場では穏やかに過ごしているように見えて、あとから疲れが出ることがある
意見を言わないのは、無関心だからでも、考えていないからでもありません。
タイプ9の子にとって、安心とは「争いがないこと」「緊張が高まらないこと」。
その安心を守るために、自分の気持ちを後ろに置く、という選択をしているのです。
タイプ9の子の学び方とコミュニケーションの特徴
学び方に表れやすい姿
タイプ9の子は、自分のペースでじっくり進むタイプです。
- 好きなことは、気づくと長く続けている
- 自分のペースで、まわりを見ながら進む
- くり返しの中で、少しずつ身につけていく
- 「みんな一緒」「安心して学べる」空気の中で集中しやすい
- 競争や比較が強い場面では、本来の力を出しにくい
人との関わりで見えてくること
- 話し方がやわらかく、聞き役に回ることが多い
- 自分の考えを伝えるとき、遠回しになりやすい
- 「いや」を口にせず、動かない・流れに乗らないことで境界線を引くことがある
- 「大丈夫」と言いながら、心では無理をしていることも
- 安心できる相手には、ぽつりと本音を出すことがある
穏やかに見えるその内側では、場の空気が波立たないかを、無意識に感じ取りながら言葉を選んでいます。
タイプ9の子が安心できるために
親ができる5つのサポート
タイプ9の子どもは、「波風を立てないこと」を大切にしています。
つい、自分の気持ちを後回しにして、まわりを優先しがちだからこそ、自分の気持ちを出しても大丈夫な場所が必要です。
その安心が、無理をしなくても育っていくように、ここでは、親ができる関わりを5つご紹介します。
1. 急かさず、待つ姿勢を大切にする
考えるのに時間がかかるのは、ちゃんと周りを見ている証拠。
「ゆっくりでいいよ」
「考えてからで大丈夫」
待ってもらえる経験が、安心につながります。
2. 意見を聞くときは、答えやすく
「どう思う?」が難しいときは、
「こっちとこっち、どっちが近いかな?」
「少しでもいいよ」
小さな選択肢が、言葉のきっかけになります。
3. 穏やかなやりとりを心がける
強い言葉や感情のぶつかり合いは、タイプ9の子の心を固くします。
親が落ち着いていることが、「ここでは出していい」というサインになります。
4. 子どものペースを尊重する
タイプ9の子は、なかなか動き出さず、やる気がないように見えることがありますが、「一緒にやろうか?」と隣に座って伴走したり、ハードルの低い入り口を用意してあげることで、取り掛かりやすくなります。
「最初の5分だけ一緒にやってみようか」
「毎日1ページだけ進めよう」
無理のないリズムができると、その流れに安心して身を任せながら、力を発揮していきます。
5. 「言わなくてもいい」ではなく「言ってもいい」を伝える
無理に主張させなくて大丈夫。
「いつでも聞くよ」
「話したくなったら教えてね」
その一言が、タイプ9の子の中にある声を守ります。
おわりに
おだやかさの奥にある、確かな存在感
タイプ9の子は、自分を押し出さないことで、世界とつながってきました。
でもそのやさしさの奥には、確かに「感じている自分」「思っている自分」がいます。
大人がその存在を信じ、待ち、受け取ることで、タイプ9の子は少しずつ、調和の中で、自分を大切にする力を育てていきます。
それは、静かだけれど、とても強い力です。
子どもの反応やこだわりを「性格」だけで決めつけずに見るために、エニアグラム全体の考え方を知っておくと、見え方が少し変わります。
→ エニアグラムとは? 自己理解を深めるための内面の地図
このタイプの背景にある恐れや動機については、大人向けの基本解説で詳しくまとめています。
→ タイプ9【調停者】の特徴と強み











