― ちいさな冒険家の遊び心を知る ―
遠足のバスの中、あさひ君(9歳)は前の席で座っている友達に興奮した様子で話しかけた。「ねえねえ、着いたらみんなで一緒に宝探ししようよ!絶対面白いから!」
あさひ君は常に新しい冒険や楽しみを求め、周囲のエネルギーを引き寄せて、みんなを巻き込むリーダー的存在だった。彼にとっては、退屈や制限はただの敵であり、どんな状況でも楽しみを見つけることが最も大事なことだと感じていた。
楽しさを求めるこころ ― タイプ7の気質をひもとく
タイプ7はどんな子ども?
エニアグラムタイプ7の子どもたちは、明るく好奇心に満ちた「冒険好きの楽観主義者」です。ワクワクすることや、新しい体験に心を躍らせます。
その背景には、「退屈すること」や「不自由さを感じること」への強い恐れがあります。制限されたり、ネガティブな気分にとらわれたりすることに強い不安を感じており、無意識のうちに「嫌な気分を避けること」へと行動が向かうことが多くあります。
- 恐れ: 嫌な気分になること、退屈や制限されること
- 動機: 楽しさや自由、ワクワクする未来を求める
- 焦点: ポジティブなこと、可能性、楽しい出来事
- 戦略: 面白いことを探しにいく・嫌な気分から目をそらす
タイプ7の子どもは、気持ちの切り替えがとても早く、嫌なことが起きても「もっと楽しいことを探そう!」と前向きに行動しようとします。一見すると明るく自由な性格ですが、その裏側には「イヤな気分に飲み込まれたくない」という繊細な心の動きが隠れていることもあります。
タイプ7の子あるある ― よく見られる行動例
タイプ7の子は、以下のような行動をよく見せます。
- いつも楽しいことを探していて、周りを笑わせようとする
- イヤなことがあると、すぐに話題を変えて明るく振る舞う
- 興味を持ったことには全力で取り組むけれど、飽きるのも早い
- 遊びやイベントなど、予定がたくさんあると元気になる
- 退屈な時間やルールに縛られることが苦手で、自由に動きたがる
これらの行動の根底には、つまらないと感じることへの不安やネガティブな感情に触れるのを無意識に避けようとする気質があります。楽しさや刺激を求める姿は、その不安を埋めようとする自然な反応でもあるのです。
タイプ7の子の学び方とコミュニケーションの特徴
学習スタイル
- ワクワク感で動く
楽しいと感じるものに飛びつき、知識を広く吸収する - 短期集中・多動型
一点集中より、あれこれ学ぶスタイル - 体験ベースの理解
実際にやってみることで、理解が深まる - 自由度重視
制限されるより、自分のペースで学べると伸びやすい
コミュニケーションスタイル
- 深い話題は避けがち
感情的に重たいテーマになると、すり抜けようとすることがある - 明るく軽やか
話し方に勢いがあり、人を巻き込むエネルギーがある - 話題が次々変わる
話のテンポが速く、いろいろな方向に展開しがち - 前向きな表現
「大丈夫!」「楽しいよね!」など、ポジティブな言葉が多い
タイプ7の子が心をひらく親の姿勢
エニアグラムタイプ7の子どもは、明るくて好奇心旺盛。楽しいことが大好きで、自由な発想で毎日を目一杯生きようとします。親は彼らの探求心とエネルギーを理解し、自由と安心のバランスをとって関わることが大切です。
- 自由な選択肢を与える
タイプ7の子どもは、自分で選んで動くことに喜びを感じます。「今日は何をしたい?」「どっちを選ぶ?」といった問いかけで、選択の自由を感じられる場面を意識的につくりましょう。 - 一緒にワクワクを楽しむ
子どもの「やってみたい!」という気持ちにはできるだけ共感し、否定せずに「面白そうだね!」と一緒にワクワクしてください。楽しさを共有することが、信頼関係を深めます。 - 枠をつくる
自由を尊重しながらも、「この中でなら自由にしていいよ」と安心できる枠を設けましょう。ルールや時間の枠があることで、心の安定にもつながります。 - 落ち込む気持ちに寄り添う
いつも明るくふるまうタイプ7の子ですが、実は落ち込むこともあります。そのときに「元気出して」ではなく、「寂しかったんだね」と気持ちを受け止めてもらえると、安心して感情を出せるようになります。 - 終わりの経験を一緒に味わう
楽しいことをずっと続けたがるタイプ7の子にとって、「終わり」は不安の種。だからこそ、終わりが来ても大丈夫だと教えることも大切です。「今日はここまでにしよう」と区切る経験を重ねることで、現実と折り合いをつける力も育ちます。
タイプ7の子を深く知るためのキーワード
楽しさ
- ポジティブな経験を追い求め、困難な状況を楽しい出来事に変換する能力
- 可能性を信じ、楽しいことに焦点を合わせる
自由
- 繰り返しや制限を嫌い、自由に物事を進めていく
- 新しい経験を求め、冒険心を持つ
探求心
- 常に新しいことに挑戦し、学びを楽しむ
- 知識や経験を広げることに喜びを感じる
バラバラなアイデア
- 複数のアイデアを同時に持ち、それをつなげるのが得意
- 連想的に思考し、独創的な視点を持つ
タイプ7の子育てQ&A ―「たのしいことがしたい!」気持ちに寄り添うサポート
Q1:すぐ飽きてしまって、ひとつのことを最後までやり遂げられません。どう声をかければいい?
A:楽しいことが好きな気持ちを尊重しつつ、ゴールの魅力を伝えてみましょう。
タイプ7の子は、新しいことへのワクワクが原動力。
でも、飽きやすさの裏には、「退屈を避けたい」「嫌な気持ちにふれたくない」という心理もあります。達成後の楽しさや満足感をイメージさせるような声かけが、やり遂げるモチベーションになります。
声かけ例:「ここまでできたら、すごく気持ちよさそうだよ!」「終わったら〇〇できるね」
Q2:「退屈」「つまんない」と言うことが多く、予定外のことにイライラします。どう対応すれば?
A:「気分が変わることもあるよね」と共感したうえで、選択肢を一緒に考えましょう。
タイプ7の子は、予定や環境に自由度があると安心します。決まった流れが苦手な場合は、「AとB、どっちがいい?」といった選択肢を示すことで、自分で選んで進める感覚を持たせると安定しやすくなります。
声かけ例:「つまらないと感じるときもあるよね。じゃあ、どうしたら少し楽しくなるかな?」
Q3:楽しいことばかり追いかけて、いやなことを後回しにしてしまいます。どう促せばいい?
A:「楽しいこと」と「やるべきこと」の両立を、一緒に工夫する視点で伝えてみましょう。
タイプ7の子は、イヤな気分を避けるのが本能的な反応。だからこそ、単に「ちゃんとやりなさい」ではなく、「楽しみをあとにとっておく」ような発想で促すのが効果的です。
声かけ例:「これ終わったら、〇〇タイムにしよう!」「一緒にタイマーでやってみる?」
Q4:「もっともっと」と欲張りになって、我慢がきかない場面があります。どう見守れば?
A:「今ここにある楽しさ」に目を向けられるよう、体験を言葉にしてあげましょう。
タイプ7の子は、未来に期待しすぎて、今を味わいにくい傾向があります。
親が「今こんなに楽しいね」「〇〇できて嬉しいね」といった、今を感じる言葉を添えることで、欲求のコントロールも育っていきます。
声かけ例:「今ってすごく楽しい時間だね」「次のことはあとでゆっくり考えようか」
Q5:落ち込んだり怒られたりすると、ふざけてごまかそうとします。どう受け止めたら?
A:「逃げてる」のではなく、「つらい気持ちから目をそらそうとしている」と理解しましょう。
タイプ7の子は、不安や痛みを感じることがとても苦手です。
感情から逃げようとする姿勢に対しては、気持ちにそっと寄り添いながら、少しずつ感情表現を育てていくことが大切です。
声かけ例:「本当はちょっとイヤだったのかな?」「笑ってたけど、もしかして悲しかった?」
こんなときこそ思い出したい「タイプ7の魅力」
- 明るく前向きで、人を楽しませるのが得意
- 好奇心が豊かで、発想力にあふれている
- どんなときも希望を見いだそうとする強さ
おわりに:楽しさと自由の中で成長する
タイプ7の子は、「楽しいことが大好き!」という純粋な心で世界を広げていきます。その反面、見たくない気持ちや退屈への耐性は育ちづらいことも。
けれど、安心してネガティブな感情も受けとめられるようになると、その明るさは周囲を照らす力に変わっていきます。「楽しさの裏にある繊細さ」に目を向けて、やさしくサポートしていきましょう。
タイプ7の子どもは、楽しさと自由を大切にし、新しい経験を追い求める冒険家です。親としては、彼らのエネルギーと好奇心を尊重し、無限の可能性を感じられる環境を作ることが最も大切です。彼らが自由に飛び回りながら成長できるようにサポートし、その楽しさを共に体験しましょう。
お子さんのタイプを理解するには、親自身の気質やコミュニケーション傾向を知ることも大切です。セッションでは「どう接すれば伝わるのか?」「なぜイライラしてしまうのか?」といった疑問を整理しながら、自分と子どもの関係性を見直すきっかけづくりをサポートしています。
▶Self Portraitセッションの詳細はこちら
子育てシリーズのまとめ記事は下記に掲載しています。他のタイプの子の特徴や関わり方も気になる方はこちらをどうぞ。