― 小さな愛の天使の愛されたい気持ち ―
クラブの部長をしているひよりちゃん(12歳)。みんなからの頼まれごとを引き受けているうちに、つい自分のことは後回しに。でも、「ありがとう」の一言で、自然と「まあ、いいか」と思えるのだそう。そんなエピソードを聞くと、思わず心が温かくなります。
タイプ2の子は、周りの人を大切にし、愛されることで満たされます。彼らの心の中には、「人に必要とされ、感謝されること」が何よりの喜びとなっているのです。
だれかの笑顔が力になる ― タイプ2の気質をひもとく
タイプ2はどんな子ども?
エニアグラムタイプ2の子どもたちは、周りの人を大切にし、「誰かの役に立つこと」や「愛されること」で心が満たされます。
その背景には、「求められないこと」や「必要とされないこと」への強い恐れがあります。これは無意識の深い部分に根ざし、時に子どもにとって「自分の居場所がなくなるのでは」という不安を引き起こすこともあります。
- 恐れ:人から求められず、愛されないこと
- 動機:無条件に愛されたい
- 焦点:周りの人とそのニーズ(誰かのために)
- 戦略:親切にすることで感謝される
タイプ2の子は、「人に与えることができる自分」に価値を見出します。誰かの笑顔や「ありがとう」が、自分の存在意義そのものを感じさせてくれるのです。
タイプ2の子あるある ― よく見られる行動例
タイプ2の子は、次のような行動をよく見せます。
- 友達が困っているとすぐに手を差し伸べる
- 感謝されることに大きな喜びを感じ、褒められると元気が出る
- 先生や周囲の人に気を遣い、助けることが多い
- クラスやグループの一体感を大切にし、周りと調和を図ろうとする
- 自分がしていることが「誰かのため」であることを強く意識する
これらの行動の根底には、他者から「愛されていると感じたい」という強い願いがあります。
タイプ2の子の学び方とコミュニケーションの特徴
学習スタイル
- 対人モチベーション型
誰かの役に立つ・助けになるという目的があるとやる気が出る - 承認重視
ほめられると学習意欲が高まり、「いい子」でいようと努力する - 周囲を観察して学ぶ
人がどのようにしているかを見て、学び取る - 感情ベースの記憶
心が動いたことをよく覚える
コミュニケーションスタイル
- あたたかい言葉選び
気持ちに寄り添う、思いやりある表現が多い - 相手に合わせる
相手の気持ちを先読みして、求められている対応をしようとする - 遠回しな表現
自分の望みをはっきりとは言わず、察してほしい気持ちがある - 気づかう言葉
「大丈夫?」「困ってない?」など、相手の状態に敏感
タイプ2の子が心を開くために:親ができる5つのサポート
愛されたいという気持ちが強いタイプ2の子どもには、無条件の愛と感謝の言葉がとても大きな意味を持ちます。
- 愛情をしっかり伝える
スキンシップや「大好きだよ」といった言葉を、日常的に伝えていきましょう。 - 具体的に感謝を伝える
「〇〇してくれて助かったよ」「ありがとうね」と、その行動をきちんと認めることが大切です。 - 思いやりを認める
人を気づかう姿を「すごいね」と受け止め、子ども自身の価値として伝えてあげましょう。 - 共感の姿勢を持つ
感情を否定せず、「そう思ったんだね」と気持ちに寄り添ってあげることが心の支えになります。 - プレッシャーを避ける
期待が大きすぎると、「愛されたい」という気持ちが重荷になってしまうこともあるため、ほどよい見守りが大切です。
タイプ2の子を深く知るためのキーワード
承認欲求
- 良い子であろうとするため、他人の期待に応えようとする
- 人からの拒絶や叱責からのダメージを避け、受け入れられる存在であろうとする
人とのふれあい
- 友達やクラスメートとの絆を大切にし、仲間意識を重視する
- 一緒に行動することで距離を縮めたい
思いやり
- 他人を助けることで、自分の存在価値を感じる
- 誰かが困っていると放っておけない、自然と手を差し伸べる
タイプ2の子育てQ&A ― 愛されたい気持ちに寄り添うサポート
Q1:人のためにがんばりすぎて、疲れてしまうことがあります。どう声をかけたらいい?
A:自分を優先してもいいこと、助けを求めるのは悪いことじゃないと伝えましょう。
タイプ2の子は、「誰かの役に立ちたい」という気持ちが強く、自分のことを後回しにしがちです。無理をしないこと、自分も助けられていい存在であることを教えることが、心の安心につながります。
声かけ例:「今日はあなたの番だね。困ったらちゃんと助けてって言っていいんだよ」
Q2:自分の気持ちをはっきり言えず、我慢してしまうことがあります。
A:「自分の気持ちも大切にしていいよ」と折にふれて伝えましょう。
タイプ2の子は、相手の気持ちを読み取り、合わせることが得意です。ただし、それが続くと自分の本音を抑え込んでしまうこともあります。安心して気持ちを出せる環境づくりが重要です。
声かけ例:「〇〇ちゃんの気持ちもあるけど、あなたはどう思ってる?」
Q3:感情の起伏が大きく、傷つきやすいです。どう支えたらいい?
A:気持ちに寄り添い、言葉でしっかり愛情を伝えましょう。
タイプ2の子は、感情豊かで、人間関係に敏感です。「愛されているかどうか」によって安心感が大きく左右されます。無条件の愛を、言葉や態度で丁寧に示していくことが大切です。
声かけ例:「〇〇がどんな気持ちでも、大好きだよ。ちゃんとわかってるからね」
Q4:頼まれていないのに、何でも手伝おうとします。どう対応すればいい?
A:「気づいてあげられる優しさがあるね」と認めたうえで、境界の大切さも教えましょう。
タイプ2の子は、人の役に立つことに喜びを感じます。でも、時には「手伝わない」選択も必要です。「必要なときに助ける」ことのバランスを一緒に考えていけるといいですね。
声かけ例:「それに気づけるのはすごいね。でも、自分のことが終わってからでも大丈夫だよ」
Q5:普段は優しいのに、注意したときに突然怒ったり、反抗的になることがあり戸惑います。
A:心の奥で「傷ついた」「否定された」と感じて、防衛的になっているサインかもしれません。
タイプ2の子は、普段は人に好かれたい・役に立ちたいという気持ちが強いぶん、親からの否定や批判にとても敏感です。
特にストレスが高まると、タイプ8のように「強くならなきゃ」「負けたくない」と感じ、防衛的に怒ったり、きつい言葉で返したりすることがあります。そんなときは、表面的な言動にとらわれすぎず、まずは気持ちに寄り添う姿勢が大切です。感情の裏にある「悲しさ」や「不安」を認めることで、心を開きやすくなります。
声かけ例:「そんなふうに言うなんて、よっぽど嫌だったんだね」「本当は、〇〇って思ってたのかな?」
こんなときこそ思い出したい「タイプ2の魅力」
- 思いやり深く、人の気持ちに寄り添える
- 周囲にあたたかさを届ける存在
- 「ありがとう」に心から喜べる純粋さ
おわりに:愛されることで輝く
誰かを助け、喜ばれることに大きな価値を見出すタイプ2の子。
その背景には「愛されたい」「大切にされたい」という繊細な願いがあります。親がその気持ちを深く理解し、まるごと受けとめることで、子どもは「与えること」だけでなく、「受け取ること」の大切さも学び、自分自身をもっと大切にできるようになります。
お子さんのタイプを理解するには、親自身の気質やコミュニケーション傾向を知ることも大切です。「どう接すれば伝わるのか?」「なぜイライラしてしまうのか?」といった疑問を整理しながら、子どもの関係性を見直すきっかけを得たい方には個人セッションもおすすめです。
他のタイプの子どもの特徴や関わり方も気になる方はまとめもどうぞ。