タイプ6の特徴とは?
安全・信頼・ルールを重んじる“組織人”
エニアグラムのタイプ6は、「信頼できる人やシステムに帰属したい」「安心して行動できる基盤がほしい」と強く願うタイプです。職場では、責任感と誠実さを持って行動し、組織やチームに対して高い忠誠心を示す「縁の下の力持ち」です。
タイプ6の根源的な恐れは、「裏切られること」「安全を失うこと」。そのため、先回りしてリスクを予測し、不安を減らすための情報や関係性の確認を常に行っています。
この慎重さと安定志向は、経営・マネジメントにおいては非常に心強い資質でもあり、長期的な信頼関係を築ける貴重な存在です。
タイプ6の職場での強み
リスク管理・忠誠心・粘り強さが組織の安定を支える
タイプ6は、安心できる環境においては非常に高い責任感を発揮し、信頼性の高いメンバーとなります。以下のような特徴が職場での強みとして現れます。
- リスク察知能力と危機管理力
最悪のケースを常に想定し、問題が起きる前に備える力に優れています。防衛的ではありますが、組織にとっては“安全装置”のような役割を果たします。 - 忠誠心と責任感の強さ
一度信頼した人・組織にはとことん尽くすスタンスを持っており、義理堅く、継続的な努力ができます。 - チームワークを重視する協働型姿勢
個人プレーよりも“チームの中でどう貢献するか”を重んじるため、調和と秩序を保とうとします。 - 計画性・遵法意識・マニュアル遵守
ルールや手順をきちんと守り、抜け漏れのない安定した仕事ぶりを発揮します。
このような特性から、タイプ6は法務、品質管理、人事、総務、危機管理、現場マネジメントなど、「信頼・安全・仕組み」が重要な業務領域で力を発揮します。
タイプ6が抱える内面の葛藤
信じたいのに疑ってしまう不安と信頼の間
タイプ6は「不安」に敏感な性質を持つため、内面では次のような葛藤を抱えることが少なくありません。
- 常に「正しい答え」を求めて揺れる
自分の判断を信じきれず、上司・同僚・マニュアルなど外の基準に依存しがちです。 - 疑いと信頼が交錯する
他人を信じたい気持ちと、「裏切られるかもしれない」という疑念の間で葛藤するため、関係性に不安定さが生まれます。 - 過剰なシミュレーションで動けなくなることも
リスクの洗い出しにエネルギーを費やしすぎて、実行フェーズに移れないことがあります(思考のループ)。 - 強い相手に迎合・反発どちらにも振れやすい
圧のあるリーダーに対して、過剰に従順になったり、逆に強く反発したりと、極端な対応になりがちです。
これらは、経営層から見ると「優柔不断」「慎重すぎる」「反抗的に見える」といった誤解を生みやすい面でもあります。
マネジメントする側が知っておきたい対応のコツ
安心を与えるコミュニケーションが鍵になる
タイプ6は、適切な信頼と安定した関係性の中でこそ本領を発揮します。管理職としては、次のような関わり方が効果的です。
- 「あなたは大丈夫」という安心感を与える
本人の不安を責めるのではなく、「慎重に考えてくれてありがとう」と、姿勢そのものを評価しましょう。 - 明確なルールや指示を出す
曖昧な指示やゴール設定は、不安を煽るだけです。「○日までにこれを完了してほしい」「困ったらまずこれを確認して」といった具体性が有効です。 - 信頼関係を定期的に“確認”する
1on1やフィードバックの機会で「うまくやれているか?」「信頼されているか?」の感覚を伝えると、安定感が高まります。 - 過度なプレッシャーを避ける
追い詰められると反発的・防衛的になりがちです。丁寧な説明と共に期待を伝えることが鍵です。
チーム内でタイプ6を活かすには
役割の明確化と信頼関係が行動力に直結する
- 「チェック役」「ブレーキ役」としての配置が効果的
楽観的なタイプやスピード重視のメンバーが多いチームでは、タイプ6の存在がバランスを取ってくれます。 - プロセス管理や監査的視点のタスクに強い
抜け漏れなく整えることが得意なので、プロジェクトの品質管理や業務フローの整備に向いています。 - 相談役・サブリーダーとしての役割もフィット
正面に立つよりも、リーダーを支える副官的ポジションにいることで、安心感と貢献意欲が高まります。
他タイプとの関係性に注意
疑念が対人関係に影響しやすいため、関係構築が肝要
- タイプ8(挑戦者)との関係:
タイプ6はタイプ8の強い主張に萎縮するか、反発するかのどちらかになりがち。信頼構築のプロセスを丁寧に踏むことが重要。 - タイプ3(達成者)との関係:
即断即決・目標重視のタイプ3に対して、タイプ6は慎重すぎて「遅い」と思われる可能性あり。タイプ6の視点がリスクへの備えであることを認識すると協力関係が築けます。 - タイプ9(調停者)との関係:
お互いに強く出られないため、結論が出にくい停滞関係になることも。タイプ6が先に安心して話せる土台を作ることがカギです。
まとめ
「安心できる組織設計」がタイプ6の行動力を最大化する
タイプ6は、「信頼関係」「明確な枠組み」「安心して動ける基盤」が整っていれば、驚くほど安定して組織に貢献します。その誠実さ・観察力・リスク察知力は、短期的な成果よりも中長期の信頼と組織の安全に関わる土台として欠かせないものです。
経営層としては、「動きが遅い」と感じる前に、「この人が見えているリスクは何か?」を聞く姿勢が重要です。タイプ6の声にならない不安に耳を傾けることが、組織のレジリエンスを高める第一歩になります。
安定感を求めるタイプ6の中には、最も動じず、長く貢献し続けるリーダーとしての芽が潜んでいるのです。
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