「子どもにとって良い親でありたい」——そんな想いは、すべての親に共通するものです。
でも、どんなに愛情を注いでも、なぜかうまく伝わらなかったり、衝突してしまったりすることはありませんか?
実はその背景には、「親の気質」が大きく関わっているかもしれません。
そんなときこそ、エニアグラムの視点が役立ちます。
自分がどんな価値観や考え方を持って子育てに向き合っているのかが、見えてくることがあるのです。
ここでは、エニアグラムの9タイプに基づいて、「親自身のタイプ」から見た子育てのヒントをご紹介していきます。
今回は【タイプ1の親】について。気質の特徴や接し方のポイント、タイプごとの子どもとの関わり方まで詳しく見ていきましょう。
エニアグラム・タイプ1の親の特徴と価値観
タイプ1の親は、「正しさ」や「秩序」を大切にする気質を持っています。
責任感が強く、子どもの将来を思うからこそ、しっかりとしたしつけを行おうと努力する方が多いでしょう。
「これはこうすべき」「きちんとすることが大切」
そんな信念のもと、子どもに良い価値観を伝えたいと願う、誠実で努力家な親です。
良いところと気をつけたいところ
良いところ
- 道徳心や規律を自然と教えられる
- 我が子の未来を見据えて、責任をもって育てようとする
- 子どもに誠実に向き合い、まっすぐな姿勢を貫く
気をつけたいところ
- 「正しさ」を強く押し出すと、子どもが自由や自分らしさを感じにくくなる
- 細かなルールや指示が、子どもにとってはプレッシャーに感じられることも
- 子どもの発達段階を超えた「完璧さ」を求めてしまう場面がある
とくに「こうしなさい」「それは間違っている」という声かけが多くなると、子どもは「自分の意見は受け入れてもらえない」と感じ、自己主張を控えるようになってしまう可能性もあります。
また、タイプ1の親は自分自身が早熟でしっかりしていた経験から、無意識のうちに子どもにも同じ水準を求めがちです。
年齢相応の発達段階を超えて「もっとできるはず」「きちんとさせなきゃ」と背伸びを促してしまうことがあり、それが子どもにとってプレッシャーや自己否定につながることもあります。
けれど、子どもの成長には個人差があり、早い・遅いは一概に比べられるものではありません。どの子も、時間をかけながら着実に育っていきます。だからこそ、親が成長を急がず、目の前の子どもを信じて見守る姿勢が大切です。
子育てでしがちな声かけパターン
- 「それじゃダメでしょ、こうしなきゃ」
- 「なんでちゃんとできないの?」
- 「お母さん(お父さん)はあなたのためを思って言ってるのよ」
これらの声かけの根底には「よりよく育ってほしい」という愛があるのですが、“子どもの今”に目を向けるよりも、“こうあるべき”という未来の理想を重視しすぎてしまう傾向があるかもしれません。
タイプ1の親自身への心がけ
親としての「正しく育てたい」という想いは尊く、子どもに深い愛情があるからこそ生まれるものです。
でも、人生には「正解のないこと」や「まあいっか」でいいこともたくさんあります。
タイプ1の親は「きちんと」を強く意識します。でも、生きる上ではそんなにきちんとしなくても大丈夫なもの。
肩の力を抜いてもよい場面を意識し、「まあいっか」「これでも大丈夫」と大らかに受け止めましょう。
そして何より、親自身がゆるむこと、ゆるされる感覚を持つことが、子どもの心の栄養になります。
完璧でなくても、機嫌の良いお母さん・お父さんのほうが、子どもは安心して育っていきます。
自分の価値観を否定するのではなく、「今のままの自分でも大丈夫」と自分を認める時間を、少しずつ増やしてみてください。
その心のバランスこそが、親子にやさしい関係を育ててくれます。
タイプ別:子どもとの関わりヒント
ここからは、タイプ1の親がタイプごとの子どもに接する際のヒントをご紹介します。
タイプ1(ちゃんとしたい子)へ
自分自身も「ちゃんとしなきゃ」と思いやすい子ども。親の完璧さが強く出ると、さらに窮屈さを感じます。
「がんばってるね」「ミスしても大丈夫だよ」と、緩める声かけを。
タイプ2(やさしい子)へ
愛されたい気持ちが強い子。親の評価を気にして無理をすることも。
「あなたはそのままで素敵だよ」と、存在を肯定する言葉を大切に。
タイプ3(がんばる子)へ
成果で認められたい子ども。親の期待を感じるとがんばりすぎてしまいます。
「できたことも、できなかったこともあなたの一部」と伝えて安心感を。
タイプ4(繊細な子)へ
感受性が強く、自分らしさを大切にしたい子。親の「こうあるべき」が自己否定に繋がることも。
「あなたらしいね」と独自性を認める声かけを。
タイプ5(観察する子)へ
一人で考えたい、静かに過ごしたい子。親の細かな指導に疲れてしまうことがあります。
「ゆっくりでいいよ」「考えていること、聞かせてね」と余白を与える関わりを。
タイプ6(しっかりしたい子)へ
安心・信頼が大事な子ども。厳しさよりも一貫性と温かさを。
「一緒に考えよう」「大丈夫、一緒にいるよ」という安心のメッセージを。
タイプ7(たのしむ子)へ
好奇心旺盛で自由を好む子。細かな制約はストレスに。
「楽しいね!」「いいアイディアだね」とポジティブに伸ばしてあげて。
タイプ8(パワフルな子)へ
強さや主張を大事にする子。命令調や押しつけには反発しがち。
「どう思う?」「あなたの考えを聞かせてほしい」と尊重を大切に。
タイプ9(おだやかな子)へ
平和主義で穏やかな子。親の強い主張に巻き込まれやすく、自分の意思が埋もれることも。
「どうしたい?」「あなたの意見が大事だよ」と意思を引き出してあげて。
まとめ
タイプ1の親は、子どもに「正しさ」や「誠実さ」を自然と伝えられる、頼もしい存在です。
でも、時には “その子らしさ” に目を向けて、見守るゆるさも意識してみましょう。
そして、親自身が「まあいっか」と思える瞬間を持つこと。
その心のゆとりが、子どもの安心感や自信となって返ってきます。
子どものタイプを知ることで、「なぜうまく伝わらないのか」が見えてきます。
そして、自分のタイプを知ることで、「なぜそう接してしまうのか」にも気づけます。
親子それぞれの気質を理解することは、思い込みから自由になり、よりまあるい心でつながる第一歩です。
他のタイプの親や子についても知りたい方は、こちらのまとめ記事をご覧ください。