はじめに ― なぜ「エニアグラム×子育て」なのか?
子育ては、家庭だけのテーマではありません。思いのほか「部下の育成」や「組織づくり」と多くの共通点があります。
私が子育てで大切にしているゴールは、「子どもが社会の中で他者と調和しながら、自分の力を健やかに発揮できるようになること」。これは、家庭での成長支援において欠かせない視点です。
一方、組織における人材育成のゴールは、個々の強みを活かしながら、成果や協働に結びつけること。どちらにも求められるのは、相手の持つ力を理解し、それを引き出す関わり方です。
そして、その関わり方の質を高めるために有効なのが、エニアグラム。子どもも大人も、それぞれ生まれ持った「気質」が行動や感情の背景にあり、その理解が関係性を大きく変えます。
それは、親子関係にやさしい変化をもたらすだけでなく、人の成長を支える視点を広げ、職場での人材育成やチームマネジメント、リーダーシップの発揮にも生きる学びとなります。
エニアグラムとは? ― 9タイプで読み解く「気質の地図」
エニアグラムは、人の性格を9つの気質タイプに分類し、「考え方・感じ方・行動のパターン」を深く理解するための心理学的モデルです。子育てでもこの理解は大きな力になります。
この9タイプは、以下の3つの「センター(感覚の重心)」に分けられます。

- 本能センター(タイプ8・9・1)
行動や衝動に反応しやすく、身体感覚がベース - 感情センター(タイプ2・3・4)
人間関係や感情のやりとりに敏感 - 思考センター(タイプ5・6・7)
情報収集や思考、安心材料の確保を重視
まずは「エニアグラムの基本を知りたい」という方はこちらをご覧ください。
▶エニアグラムとは?人間力を高める「反応構造」理解のフレームワーク
エニアグラムと発達段階 ― 「今」できることを理解するために
「どうしてこの子はこうなんだろう?」と戸惑う瞬間は、子育ての中で誰しもあるもの。
そんなとき、エニアグラムのセンターの視点に、脳の発達段階の知恵を重ねてみると、子どもの行動や反応がぐっと理解しやすくなります。
「なるほど、まだその段階なんだな」とわかることで、親としての気持ちにも余裕が生まれていきます。
9タイプ別 子どもへの関わり方【タイプ別解説】
それぞれの子どもが持つ気質の特徴と、響きやすい声かけのヒントをまとめました。「一言キャッチ」付きで、サッと読める内容になっています。
リンクは各タイプの子どもの特徴や育て方のヒントをまとめた記事です。
子どもが自分のタイプを認識できるのはおおよそ10歳以降と言われていますが、成長の過程でゆらぎがありますので、「いまはタイプ●っぽい行動が多いな」という感覚で、おおらかにとらえてください。
タイプ1:ちゃんとしたい子(信念を貫く人)
がんばり屋の君に、力を抜く許可を。
▶ 「ちゃんとしたい子」タイプ1の特徴と育て方のヒント
タイプ2:やさしい子(心を配る人)
やさしい君に、自分の気持ちも大事だよ。
▶ 「やさしい子」タイプ2の特徴と育て方のヒント
タイプ3:がんばる子(成功を追求する人)
キラキラな君に、ありのままでも十分だよ。
▶ 「がんばる子」タイプ3の特徴と育て方のヒント
タイプ4:繊細な子(本物を探す人)
感じやすい君に、あなたはそのままで素敵。
▶ 「繊細な子」タイプ4の特徴と育て方のヒント
タイプ5:観察する子(静かに探求する人)
観察好きな君に、安心して話せる場所を。
▶ 「観察する子」タイプ5の特徴と育て方のヒント
タイプ6:しっかりしたい子(信じる場所を探す人)
慎重な君に、大丈夫だよのひと言を。
▶ 「しっかりしたい子」タイプ6の特徴と育て方のヒント
タイプ7:楽しむ子(自由を愛する人)
ワクワク好きな君に、今ここを感じるヒントを。
▶ 「楽しむ子」タイプ7の特徴と育て方のヒント
タイプ8:パワフルな子(真剣勝負の人)
力強い君に、弱さを見せても大丈夫だよ。
▶ 「パワフルな子」タイプ8の特徴と育て方のヒント
タイプ9:おだやかな子(平穏を愛する人)
おっとりな君に、君の声も聞かせてね。
▶「おだやかな子」タイプ9の特徴と育て方のヒント
親のタイプ別 子育てのヒント【タイプ別解説】
親の気質にも「つい、やってしまいがちなクセ」があります。そのクセが、子どもの気質と噛み合わないとき、すれ違いや葛藤が起きやすくなることも。
「まずは自分を知ること」から、子育ては変わり始めます。
タイプ1(信念を貫く人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ1の親】子育てのヒントと注意点。「正しさ」で苦しくなる前に
タイプ2(心を配る人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ2の親】子育てのヒントと注意点。愛情が重くならないために
タイプ3(成功を追求する人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ3の親】子育てのヒントと注意点。「成果重視」で心が置き去りにならないために
タイプ4(本物を探す人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ4の親】子育てのヒントと注意点。「繊細さ」が子どもとの距離を遠ざける前に
タイプ5(静かに探求する人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ5の親】子育てのヒントと注意点。「距離感」が子どもに伝わる前に
タイプ6(信じる場所を探す人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ6の親】子育てのヒントと注意点。「不安」が子どもに連鎖しないために
タイプ7(自由を愛する人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ7の親】子育てのヒントと注意点。「楽しいだけ」じゃ伝わらないこともある
タイプ8(真剣勝負の人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ8の親】子育てのヒントと注意点。「強さ」が押しつけにならないように
タイプ9(平穏を愛する人)の子育てスタイルとヒント
▶【タイプ9の親】子育てのヒントと注意点。流されず、大切なことを伝えるように
番外編:音楽を通じて見えてくる、子どもの学びスタイル
学校や習い事などで見えてくる「音楽の取り組み方」にも、気質の違いがあらわれることがあります。タイプごとの学び方の傾向を知ることで、その子に合った関わり方や声かけのヒントが見えてきます。
音楽を通じて見えてくる、子どもの学び方のスタイルをセンター別、9タイプ別で解説しました。
シリーズ第一弾
▶︎ 【3センター別で見る】子どもの音楽習得タイプと、響く教え方のヒント
シリーズ第二弾
▶ 【9タイプ別で深掘り】子どもの音楽スタイルに合った教え方・関わり方
もっと深く知りたい方へ ― 親子の気質をひもとく時間を、ご一緒に
「この子の気質をもっと深く知りたい」
「どんな声かけや関わり方が響くのか知りたい」
そんな方は、ぜひInsightセッションをご活用ください。
お子さんとあなた、それぞれの気質を丁寧に見立てながら、今の関わり方を見直し、その子らしさをのびやかに育てるヒントを一緒に探っていきます。気質を知ることで、子どもの行動の奥にある「ほんとうの気持ち」に気づけるようになります。
そしてそれは、親子関係にやさしい変化をもたらすだけでなく、職場での人材育成やチームマネジメントにも活かせる視点となります。