「子どもにとって良い親でありたい」
そんな想いは、すべての親に共通するものです。
でも、どんなに愛情を注いでも、なぜかうまく伝わらなかったり、衝突してしまったりすることはありませんか?
実はその背景には、「親の気質」が大きく関わっているかもしれません。
そんなときこそ、エニアグラムの視点が役立ちます。
自分がどんな価値観や考え方を持って子育てに向き合っているのかが、見えてくることがあるのです。
ここでは、エニアグラムの9タイプに基づいて、「親自身のタイプ」から見た子育てのヒントをご紹介していきます。
今回は【タイプ8の親】について。気質の特徴や接し方のポイント、タイプごとの子どもとの関わり方まで詳しく見ていきましょう。
エニアグラム・タイプ8の親の特徴と価値観
タイプ8の親は、エネルギッシュで情熱的。
「子どもには強く育ってほしい」「世の中を渡っていく力をつけてあげたい」と、大きな愛と行動力で家庭を引っぱるリーダー的存在です。
頼られることにやりがいを感じ、いざというときに子どもを守る力を持つ、まさに安心できる砦のような存在。
一方で、感情よりも行動重視になりがちで、子どもの繊細な気持ちや小さなサインを見逃してしまうことも。
また、自分の「弱さ」や「揺れ」を見せることに抵抗があり、無意識に子どもにも強さを求めすぎてしまう場面もあります。
良いところと気をつけたいところ
良いところ
- 包容力があり、どんなときも味方でいようとする芯の強さ
- やるべきことを即行動に移す実行力
- 子どもの自立や責任感を自然と引き出す影響力
気をつけたいところ
- 自分の考えを正しいと信じすぎてしまうことがある
- 子どもの「弱音」や「繊細さ」にイライラしやすい
- 正義感が強いがゆえに、子どもが萎縮することも
「自分が正しい道を示さなくては」という思いが強くなりすぎると、子どもの個性やタイミングを待つ余裕が持てなくなることもあります。
子育てでしがちな声かけパターン
- 「いつまでもグズグズしてないで!」
- 「泣いてても何も変わらないよ」
- 「ちゃんとしなさい、それが世の中ってもんよ」
これらは愛の裏返しで、「子どもには強くあってほしい」という願いから出る言葉。
けれど、子どもがまだ気持ちの整理もつかないまま、行動だけを急かされると、「自分の気持ちはわかってもらえない」と感じ、心を閉ざしてしまうこともあります。
タイプ8の親自身への心がけ
タイプ8の親は、子どもにとって「頼れる存在」「守ってくれる土台」として、本当に心強い存在です。安心感や信頼感のベースをつくる力は、他のどのタイプにも負けません。
タイプ8にとって「強さ」は大切な価値。
ただ、それが「子どもも強くあってほしい」という思いにつながりやすく、その思いが、気づかないうちに、強くあることを子どもに求めすぎてしまうこともあります。
ある男性は、子どもの頃、けんかに負けて泣きながら帰宅すると、タイプ8の父から「しかえしするまで帰ってくるな」と追い返されたと話してくれました。
父親にとっては、「なめられるな、負けるな」という当たり前の感覚。けれど、その価値観が誰にでも通用するとは限りません。
本当は、タイプ8の人ほど「やさしさ」や「脆さ」、「人への情の深さ」を内に秘めているものです。
そのやさしさを、ほんの少し力を抜いて子どもに向けてみる。
たとえば、悲しいときに黙ってそばにいる、悔しい気持ちに「そうか、くやしかったんだね」と声をかける、そんな関わり方こそが、子どもの心の土台をつくる大きな支えになるのです。
タイプ別:子どもとの関わりヒント
ここからは、タイプ8の親がタイプごとの子どもに接する際のヒントをご紹介します。
タイプ1(ちゃんとしたい子)へ
まじめで自分に厳しい子。親の大胆さや即断即決ぶりに、心が追いつかないこともあります。
「あなたのペースで大丈夫」「がんばってるね」と、安心できる土台を。
タイプ2(やさしい子)へ
人に気を配る優しい子。親が頭ごなしに叱ったり、感情をくみ取らずに押し切ってしまうと、「わかろうとしてくれない」と心を閉ざしてしまうことも。共感ベースの関わりが、安心と信頼を育てます。
タイプ3(がんばる子)へ
期待に応えようと頑張る子。ほめられたくて無理をしてしまうことも。
「ちゃんと見てるよ」「がんばることに意義がある」と過程を認めて。
タイプ4(繊細な子)へ
感受性が強く、気持ちを大切にしている子。
親のストレートな言葉が、思った以上に心に刺さることがあります。「その気持ち、大切だね」「ゆっくり話してくれてありがとう」とやさしく受け止めて。
タイプ5(観察する子)へ
一人でじっくり考えるのが好きな子。親の勢いに、少し距離をとりたくなることも。
「ひとりの時間も大事だよね」と空間とペースを尊重して。
タイプ6(しっかりしたい子)へ
不安を抱えやすい慎重な子。親の断定的な物言いに、緊張してしまうことがあります。
「どう思った?」「あなたの意見も聞かせて」と、対話の余白を持つことがカギに。
タイプ7(たのしむ子)へ
明るく自由な子。親の統率力は安心にもなるが、行動を制限しすぎると反発に。
「やりたいこと、教えて」「どう進めたらよさそうかな?」と選択肢を見せて。
タイプ8(パワフルな子)へ
意志が強くて、自分の考えをしっかり持っている子。ぶつかる場面もあるけれど、それは信頼のサインでもあります。
「意見を聞くよ」「一緒に考えていこう」と、対等なまなざしを。
タイプ9(おだやかな子)へ
自分より相手を優先しがちな穏やかな子。親の勢いに押されると、自分の気持ちを飲み込んでしまうことも。
「どう感じた?」「ちゃんと聞きたいよ」と心に光をあててあげて。
まとめ
タイプ8の親は、子どもにとって守られていると感じられる存在。
強く、まっすぐで、信じたことに突き進む姿は、人生の道しるべのようなものです。
でも、「強くなければ」というプレッシャーが、知らず知らずのうちに親子の心を緊張させることも。
ほんの少し「立ち止まる勇気」「弱さを見せる勇気」を持つことで、子どもはもっと自由に、自分らしく育っていけます。
あなたの強さにやさしさが重なったとき、親子の関係は、信頼でつながる絆へと変わっていくはずです。
他のタイプの親や子についても知りたい方は、こちらのまとめ記事をご覧ください。