子どもの「音楽の教え方」に迷ったら
うまく伝わらない理由は性格にあるかも
「なんでこの子には伝わらないの?」
「どうしてこんなに苦手そうなの?」
それ、音楽の教育スタイルがその子の性格タイプに合っていないだけかもしれません。実は、子どもが音楽を学ぶときの「入り口」には性格による違いがあるのです。
イメージで捉える子、理屈で理解したい子、体で感じて覚える子。
こうした違いを理解しないまま教えていると、「なんとなくやる気がない」「続かない」といった悩みにもつながります。
性格タイプで変わる「音楽との向き合い方」
そこで役立つのがエニアグラムを活用した音楽教育。
「性格別の音楽の習得傾向」や「タイプ別のモチベーションの違い」を踏まえることで、子どもの個性に合わせた音楽の教え方が見えてきます。
今回は、「音楽の習い事に向き・不向きがあるのでは?」と感じたことのある方に向けて、タイプごとの特徴と効果的な関わり方をお届けします。
エニアグラムで見る「3つのセンター」と音楽習得の傾向
頭・心・体、それぞれの得意な入り口とは?
- 感情センターの子(タイプ2・3・4)
イメージや共感を通して「感じ取る力」で音楽に入っていく - 思考センターの子(タイプ5・6・7)
仕組みや理屈がわかると、どんどん面白くなっていく - 本能センターの子(タイプ8・9・1)
体でつかんだ瞬間に、ぐん!と飛躍していく
▶ 詳しくはこちらの解説もご覧ください
【3センター別で見る】子どもの音楽習得タイプと、響く教え方のヒント
タイプ別!音楽の学び方・つまずき・モチベーション
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タイプ1「ちゃんとしたい子」
音楽を正しく美しく奏でるものととらえるタイプ1の子。
そのまじめさと誠実さを才能として伸ばすための関わり方をご紹介します。
🎨 この子のスタイル:「正しさ」と「完成度」を大切に
タイプ1の子どもは、音のズレや間違いに敏感です。ミスなく弾けることに強い達成感を感じ、ルールや指示を守って練習するのが得意です。
「もう1回やる。今、ちょっとズレたから」
「この音符、こっちの指のほうがちゃんと弾ける気がする」
と、自分なりの正解を追い求めながら、コツコツと練習に向き合います。
🎵 向いている学び方
- 楽譜通りに丁寧に弾くことからスタート
→「できている感」が自信と継続の源に - 明確なステップで成長を実感できる工夫
→ ゴールのある練習法で安心感が増す - 感情表現やアドリブも「練習の一部」として取り入れる
→ 正解のない演奏に許可を出すと表現が広がる
🔑 傾向とポイント
- 完璧主義が強く、失敗を強く気にする
- 小さな成功も「まだまだ」と見逃しがち
- ミス=自分の価値低下、と感じやすいため、声かけには温かさと具体性を
🌱 効果的な関わり方
- 「できたところ」にしっかり焦点を当てて伝える
- 「間違えても学びになる」体験を重ねることで表現の幅が広がる
- 正しさと楽しさのバランスをとる工夫がカギ
- 丁寧に見守り、努力や工夫を認めることで意欲が続く
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- ピアノ、バイオリンなど構造のしっかりした楽器
- クラシックなど楽譜重視のジャンルに安心感あり
タイプ1の子にとって、音楽は秩序ある世界を美しく築く手段でもあります。ちゃんとできた喜びの先にある、自分らしい音の美しさを感じられるような体験を重ねていきたいですね。
タイプ2「やさしい子」
音楽を誰かの気持ちに寄り添う手段としてとらえるタイプ2の子。
そのやさしさとあたたかさを音に乗せられるような関わり方を紹介します。
🎨 この子のスタイル:「気持ち」や「つながり」がモチベーション
タイプ2の子どもは、「誰かが喜んでくれるからがんばる」気持ちを強く持っています。
自分の演奏が誰かの心に届くことに大きな意味を感じます。
「この曲、おばあちゃんの好きなやつだから練習してるの」
「先生がよろこんでくれるから、もっとちゃんとやりたい」
と、人の反応をうれしく受け取り、それが力になります。
🎵 向いている学び方
- 身近な人を思い浮かべながらの演奏
→「誰かのため」ががんばる理由に - 感情をこめた表現にチャレンジ
→ 共感力がそのまま音楽表現の深みになる - 共に演奏する機会や、褒められる場をつくる
→ つながりの中でぐんと成長します
🔑 傾向とポイント
- 「聴く人にこんなふうに届くよ」「あなたの音、あったかいね」と伝えると自信になる
- 「こうするともっと伝わるよ」と、感情の方向性をサポートする形が効果的
- がんばりすぎているときは、「大事なのはあなた自身の気持ちだよ」と立ち止まる声かけを
🌱 効果的な関わり方
- 「あなたの音、やさしいね」と感性に共感する
- 評価よりも「聴いてくれてうれしいね」と気持ちの循環を意識する
- 感謝されたり、誰かと一緒に音を楽しむ環境で才能が花開く
- 個人練習より、アンサンブルや合奏で自分の役割を感じられるとやる気アップ
- 安心できる人との信頼関係があれば、失敗を恐れずにチャレンジできる
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- 歌、フルート、バイオリンなど感情を込めやすい楽器
- 合唱やアンサンブルなど「人と共鳴できる」場面にやりがいを感じる
- 弾き語りや、気持ちを届ける音楽活動にも◎
タイプ2の子にとって、音楽は心と心をつなぐ橋です。音にこめた思いやりが誰かの心に届いたとき、その子の音楽の世界はぐっと広がっていきます。
タイプ3「がんばる子」
音楽を自分の力を試す舞台としてとらえるタイプ3の子。
その前向きなエネルギーを可能性として伸ばす関わり方をご紹介します。
🎨 この子のスタイル:「目標」と「達成感」が原動力
タイプ3の子どもは、「できるようになりたい」「うまくなりたい」という気持ちが強く、目標を持って意欲的に取り組みます。
賞や人前での演奏など、評価の場がモチベーションになることも。
「発表会でいちばん上手って言われたい」
「あと3日でこの曲完璧にする!」
というように、明確なゴールに向かって計画的に努力する力があります。
🎵 向いている学び方
- 成果が見える練習(録音やタイマー練習)
→ 成長実感が自信とモチベーションに - 目標や発表の機会を定期的に用意する
→ “勝負所”があると力を発揮しやすい - チャレンジ精神を刺激する声かけ
→ 達成への道のりを一緒に描いてあげる
🔑 傾向とポイント
- 「できない自分」を見せたがらず無理をすることも
- スピード重視で丁寧さが欠けることがある
- 失敗=恥、と感じやすいので、失敗の意味づけが重要
🌱 効果的な関わり方
- 「がんばり屋さんだね」と努力の姿勢を見てあげる
- うまくいかなかったときは「そのチャレンジがすごい」と伝える
- 達成感の前にある「プロセスの楽しさ」にも目を向けさせる
- 成果を見てもらえる場(発表会、録音、動画など)があると力を発揮する
- 「結果を出すだけじゃない価値」を大人が伝えていくことが鍵
- 認められたい気持ちの裏にある「本当はがんばってる自分」を見てあげると、安心感が深まる
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- ピアノ、サックス、ギターなど「華やかさ」「目立つ場」がある楽器に惹かれやすい
- ソロ演奏、コンクール挑戦など「達成感」が得られる経験にモチベーションが高まる
- 音楽を通して「自分らしい成功体験」を積むと大きな自信に
タイプ3の子にとって、音楽は自分の可能性を形にする舞台です。誰かのためではなく、自分が奏でたい音に出会ったとき、その努力は本当の輝きとなって花開いていきます。
タイプ4「繊細な子」
音楽を自分の世界を表現するアートとしてとらえるタイプ4の子。
その繊細な感性を自由に発揮できるような関わり方を紹介します。
🎨 この子のスタイル:「感情」と「美意識」が入り口
タイプ4の子どもは、音楽を“感じる”ことから入っていきます。
その音が自分の感情にフィットしているか、美しいと感じられるかがとても大切です。
「なんかこの曲、せつなくて好き」
「この音、まるで秋の空みたい」
そんなふうに、自分なりの感覚で音に意味を見出そうとします。
🎻 向いている学び方
- 感情を動かす曲で練習する
→ 技術より「好きかどうか」が大事なモチベーションに - 音色や響きにこだわるよう促す
→ 繊細な耳を育て、音楽表現に深みが出ます - ストーリー性のある楽曲や情景描写のある言葉が効果的
→ 「この曲って、どんな風景の中で流れてると思う?」などの問いかけが◎
🔑 傾向とポイント
- 気分にムラが出やすく、同じ曲でも日によって解釈が変わることも
- 感受性が強い反面、自分の感覚をうまく言葉にできないこともあります
- 「この表現はあなたらしいね」と存在ごと肯定する言葉が響きます
🌱 効果的な関わり方
- 「こうしなさい」より、「あなたはどう感じる?」と問いかける
- 失敗しても「その感情があったからこそ、出せた音だね」と捉えてあげる
- 技術的なことを伝えるときも、「音の世界観」をセットで伝えるとスッと入ります
- 感情を表現できる自由さがあると、音楽に深く入り込める
- 評価よりも「感じたことを受けとめてもらう経験」が力になる
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- バイオリン、ピアノ、声楽など「感情の揺らぎ」を音に乗せやすい楽器に惹かれやすい
- 即興演奏、作曲、イメージをふくらませる練習法がしっくりくる
- 「自分の世界観が伝わった」と感じられると、大きな満足感が生まれる
感情が音にのることで、「こんなふうに感じていいんだ」と心が癒されていきます。音楽が自己表現のよりどころになることで、タイプ4の子は自分の価値を実感できるようになります。
タイプ5「観察する子」
音楽を仕組みを理解する対象としてとらえるタイプ5の子。
その知的好奇心が学びの力になるような関わり方をご紹介します。
🎨 この子のスタイル:「理屈」と「仕組み」が入り口
タイプ5の子どもは、音楽を“知る”ことから入っていきます。
「なぜそうなるのか」「どんな構造なのか」を理解してからでないと、なかなか行動に移せません。
「このコード進行、どうしてこうつながるの?」
「このリズムのアクセントって、理論的にはどこが重要なの?」
こんなふうに、頭の中で整理がついてから、ようやく練習モードに入ります。
🎻 向いている学び方
- 音楽理論や構造を解説してから実践に入る
→ 抽象的なイメージより、論理的な裏付けのある説明が◎ - 譜面や楽典に強い関心を持ちやすい
→ スコアを読み解く力があるので、読み込み型の学習が効果的 - 一人で集中して取り組める時間を確保する
→ 他人の目より、自分の世界に入り込める環境が大事
🔑 傾向とポイント
- 「できるかどうか」より「理解できるかどうか」がやる気のカギ
- 感情表現を求められすぎると戸惑うことも
- 集団レッスンより、マンツーマンの方が伸びやすい傾向があります
🌱 効果的な関わり方
- 感覚よりも「理屈で納得」できる説明が響きます
- 「なぜそうなるのか」「どうしてそれが必要なのか」を丁寧に伝える
- ロジックを理解することで、納得感と安心感が生まれる
- 「一人で黙々と探求できる」ことがモチベーションになるので、資料や譜面を自由に研究できる環境も◎
- 自分のペースでじっくり考えられる時間と空間があると、集中力を発揮する
- むやみに急かさず、好奇心を尊重してくれる関わりが信頼につながる
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- 電子音楽、打楽器、ギターなど「構造の理解」や「自分なりの探求」ができる楽器に惹かれやすい
- 理論的な学びや、パターン分析、実験的アプローチとの相性が◎
- 音楽を「知的好奇心で広げられる分野」としてとらえると深くのめり込む
構造や理論が腑に落ちると、「これなら弾ける!」という自信につながります。音楽が知的探究のフィールドになることで、タイプ5の子はじっくりと実力を高めていきます。
タイプ6「しっかりしたい子」
音楽を安心できる型の中で上達したいととらえるタイプ6の子。
不安を安心に変えながら、力を伸ばしていく関わり方をご紹介します。
🎨 この子のスタイル:「安心感」と「信頼」が入り口
タイプ6の子どもにとっては、音楽に向き合う場所に安心できることが重要。
「この先生なら大丈夫」「このやり方ならできそう」と思えたときに、初めて本来の力を発揮し始めます。
「この楽譜、むずかしいけど先生がいるから頑張れる」
「失敗しても怒られないって分かってるから、やってみる」
そんなふうに、信頼できる人や環境を通して学びを深めていくのがタイプ6のスタイルです。
🎵 向いている学び方
- 明確なステップとお手本があるレッスン
→ 具体的な目標や手順があると安心して取り組めます - 先生との信頼関係がモチベーションの源
→ 「先生のためにがんばりたい」と思うタイプ - 褒め言葉と確かなフィードバックで育つ
→ 根拠のある肯定(「今の音の入り方がとてもよかったよ」など)が特に響きます
🔑 傾向とポイント
- 正解を知りたい気持ちが強く、曖昧な表現には戸惑うことも
- ミスを過剰に気にするため、安心できる場の工夫が必要
- みんなで合わせる合奏や合唱は、信頼関係ができていれば好きな傾向
🌱 効果的な関わり方
- 「これで合ってるよ」と、途中経過でも小さな確認をしてあげる
- 「この先どうなるか」の見通しを伝えてあげると安心感UP
- 曖昧な感覚表現より、「こうするとこう聴こえる」という道筋を大切に
- 信頼できる人との一貫した関わりがあると、安心してチャレンジできる
- 突き放さず、丁寧に寄り添ってくれる存在が学びの支えになる
- 「これでいいんだよ」と肯定される経験が、不安を乗り越える力に変わる
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- クラリネット、フルート、合奏楽器など「人との調和」を大事にできるスタイルに惹かれやすい
- アンサンブルや合奏など「役割のある場面」で責任感と安心感を得やすい
- 信頼できる先生や仲間と一緒に音楽を育てる過程で自信が芽生えていく
「これでいいんだ」と思える体験が、安定した成長につながります。音楽が安心して挑戦できる場所になることで、タイプ6の子は着実に力を伸ばしていけます。
タイプ7「たのしむ子」
音楽を自由に楽しむ遊びのようなものととらえるタイプ7の子。
好奇心をやる気に変えて、楽しみながら続ける関わり方をご紹介します。
🎨 この子のスタイル:「楽しい!」が入り口
タイプ7の子どもは楽しいこと、新しいことをぐんぐん吸収します。
「おもしろそう」「やってみたい!」という感情が、学びへの原動力。
「この楽器、どんな音が出るんだろう?」
「この曲って、まるで冒険してるみたい!」
そんなふうに、自由にのびのびと好奇心を広げながら音楽に親しみます。
🎻 向いている学び方
- 体感重視のアクティブなレッスン
→ リズム遊びや即興演奏、身体を使った音楽活動がぴったり - バリエーション豊富な教材や課題
→ ひとつの方法にとどまらず、いろんな方向から音楽を味わうスタイルが合っています - 「楽しい気持ち」を認めてくれる先生との関わり
→ 好奇心を否定されず、のびのびできる関係が大事です
🔑 傾向とポイント
- 目の前の「面白い!」に集中しやすく、長期的な練習計画は苦手
- 地道な基礎練習を工夫して楽しくする必要あり(ゲーム形式や変奏練習など)
- 即興的な活動や自由な表現には目を輝かせる
🌱 効果的な関わり方
- 同じことの繰り返しや退屈な練習には飽きやすいので、飽きさせない工夫がカギ
- 「次は何する?」と未来にワクワクできる見通しを持たせてあげる
- 小さな達成感をテンポよく積み重ねる(ゲーム感覚でOK)
- 飽きてきたら、「じゃあこんなふうにしてみる?」と変化球を投げる柔軟さが◎
- 「おもしろそう!」と感じられる刺激があると、どんどん吸収する
- 自由な発想を認めてもらうと、のびのびと力を発揮する
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- ドラム、ウクレレ、鍵盤ハーモニカなど「音を楽しめる」カジュアルな楽器に惹かれやすい
- リズム遊び、即興、バンド形式など「変化」や「ノリ」がある活動にモチベーションが上がる
- 音楽を「遊びながら世界を広げられるツール」としてとらえると、探求心が続く
楽しい!おもしろい!という気持ちが、音への探求心を引き出します。音楽が自由な自己表現の遊び場になることで、タイプ7の子の創造性がのびのびと花開いていきます。
タイプ8「パワフルな子」
音楽を自分の力を響かせる手段としてとらえるタイプ8の子。
エネルギッシュな個性が音楽に生きるような関わり方をご紹介します。
🎨 この子のスタイル:「全力でぶつかりたい!」が入口
タイプ8の子どもは、音楽にも体当たり。
ただ習うだけでは物足りず、「この音に自分を込めたい!」「自分の表現を貫きたい!」という内なるパワーが学びの中心にあります。
リズムやダイナミクス、インパクトのある演奏を得意とし、心を揺さぶるような強い表現で音楽に向かいます。
でも、繊細さや内面を表す音は、自分の弱さに触れるようで苦手なことも。
🎵 向いている学び方
- 挑戦的な課題やステージにやる気が出る
→「次の発表会で●●を弾こう!」「この曲をカッコよくキメよう!」など目標型アプローチが効果的 - 意見を尊重してくれる先生との関係
→ 指導者が支配的だと反発しやすく、「一緒に挑戦する仲間」のようなスタンスが◎ - 力強さと繊細さを両方意識できるような導き
→「この音は優しさを込めて」「強い音のあとに静けさがくると美しいね」など、感情の幅を音で表現することも教えていきたいポイントです
🔑 傾向とポイント
- 競争や勝負ごとがモチベーションになりやすい
- 弱さや失敗を見せることを避けようとするので、失敗しても安全な環境が必要
- 「自分で決めたい!」という欲求が強いので、選択肢を与えると学びが進みやすい
🌱 効果的な関わり方
- 「あなたの音には、力があるね」と存在そのものを肯定する
- 時には「この音、やさしさを届けられるかな?」と新しい表現の可能性にチャレンジさせてみる
- コントロールや忍耐も強さの一部であることを、音楽を通して伝える
- 「自分で決める」経験があると、責任感と主体性が育つ
- ズバリと正直に向き合ってくれる人に対して心を開く
- 強さの奥にある繊細さを見てくれる関わりが、深い信頼につながる
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- ドラム、金管楽器、エレキギターなど「迫力」「存在感」がある楽器に惹かれやすい
- アンサンブルでのリーダー的ポジションや、ソロ演奏にエネルギーを注ぎやすい
- 「自分の音で場を引っぱっていける」と感じる体験が、大きな自信と満足感に
パワフルな表現が認められることで、「自分らしくていいんだ」と感じられるようになります。音楽が感情とエネルギーを解放できる場になることで、タイプ8の子の魅力がいきいきと伝わっていきます。
タイプ9「おだやかな子」
音楽を心地よくなれる場所としてとらえるタイプ9の子。
穏やかな感性を大切にしながら、自然に力が伸びていく関わり方をご紹介します。
🎨 この子のスタイル:「心地よさ」と「自然体」が入り口
タイプ9の子どもは、音楽にやすらぎやつながりを求めます。
「この曲、なんか落ち着く」
「この音、空気みたいにやさしい」
そんなふうに、気負いなく自然に音楽とつながろうとします。
そのため、刺激が強すぎると萎縮しやすく、逆に放っておかれると関心を失ってしまうことも。「自分のペースで安心して取り組める場」が何より大切です。
🎵 向いている学び方
- あたたかく見守られながら、自分のペースで取り組むこと
→ 無理に急がせたり競争させたりするより、「今日はここまでやってみようか」と一歩ずつ進めるスタイルが◎ - 周囲との調和や一体感を感じられる活動
→ 合奏やアンサンブルで「みんなで音を作る」経験に喜びを感じやすい - 心地よい雰囲気づくりが学びの土台
→ 静かで温かみのある空間だと集中力が高まりやすい
🔑 傾向とポイント
- 自分の希望より周囲を優先しがちなので、「本当はどうしたい?」と丁寧に聞いてみる
- 面倒な気持ちに傾くと停滞しがちなので、ちょっとした変化やごほうびでモチベーションを刺激するのも効果的
- 自分の音に対する自信が育ちにくいこともあるので、小さな達成感を積み重ねていくことが大切
🌱 効果的な関わり方
- 「あなたの音、すごくあたたかいね」と存在のやさしさを音に見つけてあげる
- 「どう感じた?」「どこが好き?」と自分の感覚に意識を向ける声かけを
- 進まないときは、「いまはおやすみしてもいいよ」と休むことを認めてあげるのも◎
- 急かさず、あたたかく見守ってくれる環境で力を出せる
- 「比べられないこと」が安心感を生み、自分のペースで続けられる
- 気持ちをじっくり引き出してくれる声かけで、音楽への想いが深まる
🎻 おすすめの楽器・スタイル
- ピアノ、マリンバ、木管楽器など「やわらかくて調和的」な音に惹かれやすい
- 即興やリラクゼーション音楽など「心地よさ」を重視したスタイルと相性がいい
- 音楽を「心を落ち着けて自分とつながる時間」としてとらえると、継続につながる
音楽の調和の中で安心を感じると、「もっとやってみようかな」と気持ちが動きます。音楽が穏やかな自己表現の場になることで、タイプ9の子は無理なく自分を発揮していけます。
子どもに合った音楽の教え方を見つけよう
大切なのは「その子の感じ方」に合わせること
音楽の習得は「技術」だけではありません。その子の感性、ペース、表現のしかたを尊重していくことが、いちばんの近道になります。
「どこができて、どこがまだ足りないか」ではなく、「その子がどんなふうに音をとらえ、どんなふうに表したいと思っているか」に耳を傾けてみてください。
正解を教えるよりも、「あなたはどう思う?」「どんなふうに感じた?」と問いかける。そんなやりとりの中で、子どもは自分らしい音楽を見つけていきます。
親ができる伴走スタイルのサポートとは?
「できたね」よりも、「その音、すてきだったよ」と言ってあげてくださいね。
子どもにとって音楽は、「心で感じたものを音にする」大切な表現手段。
結果や上達だけに目を向けるのではなく、その音を出した背景にある気持ち、思い、選んだ理由まで感じ取ろうとしてみると、子どもの内面にある世界が見えてきます。
ときには気分が乗らなかったり、同じ曲に飽きてしまったりすることもあるかもしれません。でも、それも全部「その子らしいプロセス」。
親としては「導く」というよりも、そばで「見守る・感じ取る・励ます」役割でいること。それが、子どもが音楽を好きでい続けるための、いちばんの力になります。
正しく教えるよりも、いっしょに味わう音楽体験を。
そんな関わりを通して、子どもはきっと、「自分だけの音」を大切に育てていくことができるはずです。
子どもの気質を知ることで、音楽だけでなく日々の関わり方にも深いヒントが見えてきます。
▼エニアグラムを子育てに活かす記事は、こちらにまとめています。