「9タイプ」はどこから来た？｜エニアグラムを根底から理解する3×3の構造

「単に9つのタイプと言われるより、3つのセンターがそれぞれ3つに分かれて9つだと聞くほうが納得できる」

これは、あるタイプ6（思考センター）の方の言葉です。

この一言は、エニアグラムを理解するうえで非常に本質をついています。

9タイプとは「9個バラバラの性格」ではなく、3つの“感情の処理スタイル”に分かれている。
それぞれのセンターが、自分の「感情・欲求・思考」をどう扱うかによって、3×3の9タイプが生まれている――

そんな構造の深みに、今回は迫ってみましょう。

エニアグラムの「3つのセンター」とは？

エニアグラムでは、人間の行動や反応の源を３つに分けています。

それが「本能センター（腹）」「感情センター（胸）」「思考センター（頭）」です。

この3つのセンターは、

• 何に突き動かされているか
• どこで世界を捉えているか

を表します。

どの人もこの3つすべてを持っていますが、どこかに「偏り」や「過剰さ」「抑圧」があり、それが性格の癖となって現れます。

カレン・ホーナイの視点：「対人葛藤スタイル」との一致

精神科医のカレン・ホーナイは、人間が不安に対してとる3つの基本的な対処パターンを提唱しました。

• 「人に近づく」（接近）
• 「人から離れる」（回避）
• 「人に立ち向かう」（攻撃）

この3分類が、エニアグラムの各センター内でのタイプの分かれ方と、見事に対応しています。

センターごとの「内訳」とカレン・ホーナイの理論

本能センター（タイプ8・9・1）

主な関心はコントロールや身体に根ざす自己の存在。

身体感覚が鋭く、自分の在り方が脅かされると、無意識に反応します。

感情センター（タイプ2・3・4）

主な関心は他者との関係性と価値・愛されること。

「人からどう見られているか」が気になります。

思考センター（タイプ5・6・7）

主な関心は安全と未来への備え。
安心や確実性を求め、不安をどう管理するかに意識が向きます。

9タイプ別｜感情の扱い方と距離感

3つのセンターは、感情との付き合い方も大きく異なります。さらに、タイプごとの細かな違いもあるので、一覧にしてみましょう。

【本能センター】感情よりも反応が先。感じるより「動く」

【感情センター】感情にアイデンティティが結びついている

【思考センター】感情を整理したがる。感じる前に考える

なぜ、エニアグラムは「9タイプ」なのか？

ここまで整理すると、「9タイプである理由」が浮かび上がります。

3つのセンター × 3つの対人姿勢（ホーナイ分類）＝ 9タイプ

これは単なる数合わせではありません。人間の深層心理に根差した構造です。

そして大切なのは、「私はどのセンターの何を恐れていて、どう対処しているのか」を知ること。

その理解が、自分の無意識のパターンをほどき、「変えられない自分」を受け入れ、「変えられる自分」に手を伸ばすための第一歩になります。

感情との関係を見直すことは、「生き方」を変えること

あなたがこれまで無意識に避けてきた感情。
必要以上に抱え込んでしまった感情。
うまく表現できずに、すり減ってしまった感情。

そのどれもが、「あなたがどう生き抜いてきたか」の証です。

だからこそ、その感情の取り扱い方を見つめ直すことは、これからの人生をどう歩むかを問い直すことでもあるのです。

さいごに｜一緒に、練習していきましょう

エニアグラムを学ぶ人は、たいてい傷を抱えていて、それでも変わろうとしています。その姿勢は、誰にでもできることじゃない。心から尊いと思います。

ただ知識を得るためじゃなく、ただ他人を分類するためじゃなく、「自分という存在をまるごと理解し、誰かと本当に繋がるために」。

この道を進んでいきたいと願うなら、一緒に、ゆっくりでも着実に学び、練習していきましょう。迷ったら、立ち止まって、また戻ってきてくれても大丈夫。

あなたがあなたであろうとするその姿勢を、心から信じています。