気質×脳科学でわかる|9タイプ別「伝わる教え方」と学習スタイル

気質×脳科学でわかる|9タイプ別「伝わる教え方」と学習スタイル

「この人の説明は、すっと入ってくる」 そんなふうに、ある人の話し方や教え方が妙にしっくりくることはありませんか。

一方で、内容は正しいのに、なぜかピンとこない——そんな経験もあるかもしれません。

理屈を理解して納得したい人もいれば、体を動かして体感から学ぶのが得意な人もいる。あるいは、感情やイメージと結びつけることで理解が深まる人もいます。

こうした学び方の違いには、エニアグラムの「3つのセンター(本能・感情・思考)」が深く関わっています。 この3つのセンターは、人間力を構成する基本要素——「知的判断力」「対人関係力」「自己制御力」にも通じるものです。

さらに近年では、それぞれのセンターが活性化しやすい脳の領域とも結びついている可能性が指摘されており、学習スタイルや対人理解において重要な手がかりとなりつつあります。

たとえば、脳画像診断の第一人者・加藤俊徳医師は「感じのいい人は、脳をまんべんなく使っている」と述べており、その違いは脳の画像としても明確に表れると言います。

本記事では、エニアグラムの9タイプを、「学習スタイル」と「脳の働き」という視点から紐解きます。 自己理解や部下育成、チームマネジメントのヒントとして、ぜひご活用ください。

あなたの「学び方」はどのタイプ?

エニアグラムの3つのセンター(本能センター・思考センター・感情センター)を表す図

本能センター(タイプ8・9・1):体感で学ぶタイプ

このタイプは、まず動くことに価値を置く実践型。言葉より経験を通して納得を得ます。

たとえばスポーツの練習でも、繰り返し体を動かす中で「なるほどこういうことか」と腑に落ちます。

タイプ9の方のコメント

最初は頭ではわかっていなくても、とにかく繰り返しているうちに、ある瞬間「こういうことか」と体感として腑に落ちてくるんです。その積み重ねで、自然と動けるようになります。

本能センターは、現実の中で身体的に試すことに強みがあります。情報よりも実感。まずは動いてみることで、自分なりの理解を深めていきます。

感情センター(タイプ2・3・4):感覚で学ぶタイプ

このタイプは、感情・イメージを通じて学習を深める傾向があります。理論より、しっくりくる比喩や印象の方が記憶に残りやすいのが特徴です。

たとえばスポーツであれば、「こう動いたら気持ちよさそう」「このステップ、きっとこうつながる」と、感覚をイメージとして描くことで、実際の動きにつなげていきます。

感情と結びついた記憶の方が残りやすいので、「なんとなくこんな感じ」で覚えていることも多いです。

タイプ4の方のコメント

私はイメージで伝えられると一番しっくりきます。たとえばストレッチでも「チーズがとろけるように力を抜いて」と言われると、感覚としてスッと入ってくるんです。

このタイプにとっては、感情が動くことや、イメージがしっくりくることが理解のトリガーになります。

思考センター(タイプ5・6・7):構造で学ぶタイプ

このタイプは、納得してから動く傾向が強く、順序立てた説明や理屈が理解の助けになります。

たとえばスポーツを始めるにも、動きの指示だけではなく「なぜこの動きが必要なのか」という理論的な説明を得ると納得して進めます。

タイプ5の方のコメント

ストレッチでも、筋肉の起始と停止を理解して「このラインを離すように伸ばす」と考えると、ぐっと動きやすくなります。理屈がわかると、体にも指示を出しやすいんです。

このセンターの人は、「まず構造を理解し、次に実践」という学習プロセスを自然に採用します。

この違いを知っていると、「どうやって教えたら伝わるか」や「自分がなぜこの方法だとやりやすいのか」がぐっとわかりやすくなります。

気質と脳のつながり

それぞれの学習スタイルは、活性化しやすい脳の部位とも関係していると考えられています。

本能センター(8・9・1)

  • 学習傾向:体感・反復
  • 関連領域:脳幹、扁桃体、前頭前野の一部

「脳幹」や「扁桃体」は生存本能に関わる部分。危機に素早く反応する「戦う・逃げる・固まる」も担います。「前頭前野」の一部は直感的な判断をすぐに行動に移す力を発揮します。

感情センター(2・3・4)

  • 学習傾向:感情・イメージ記憶
  • 関連領域:扁桃体、内側前頭前野

中心は「扁桃体」などの大脳辺縁系。感情や記憶、対人関係への反応に強く関係します。「内側前頭前野」は共感力や自己認識力を支えてくれています。

思考センター(5・6・7)

  • 学習傾向:理論・意味理解
  • 関連領域:前頭前野、側頭葉皮質

メインで活性化されるのは「前頭前野」。論理的思考や計画、分析などを担当しています。「側頭葉皮質」は言語や記憶を使って情報を統合し、理解を深めていきます。

つまり、私たちは「見た目」だけでなく、脳の使い方にも深い個性を持っているということです。

まとめ|伝わる言葉は、受け取り手によって異なる

自分がどのセンターに強みを持つかを知ることで、学習のクセだけでなく、マネジメントや人材育成にも応用できます。

相手のタイプを知っておくことで、伝え方・接し方の選択肢が増え、関係性の質が高まります。エニアグラムは、こうした多様性を読み解くための深く実践的なツールです。

Insightセッションでは、気質の構造を言語化し、自分に合った伝え方と関わり方を実践的に育てていきます。

エニアグラムとは?人間力を高める「反応構造」理解のフレームワーク
ABOUT US
みずさゆ産業カウンセラー | 社会保険労務士
人と組織の可能性は、「気質」への理解からひらかれる。経営やマネジメントにおいて、最も難しく、同時に最も影響力のあるテーマは「人」です。 数字や戦略だけでは動かない組織において、リーダーのあり方こそが、周囲を動かす原動力となります。EnneaLabでは、「9タイプの気質理解(エニアグラム)」を軸に、リーダー自身の自己理解と、組織における人の活かし方を支援しています。