「子どもにとって良い親でありたい」
そんな想いは、すべての親に共通するものです。
でも、どんなに愛情を注いでも、なぜかうまく伝わらなかったり、衝突してしまったりすることはありませんか?
実はその背景には、「親の気質」が大きく関わっているかもしれません。そんなときこそ、エニアグラムの視点が役立ちます。自分がどんな価値観や考え方を持って子育てに向き合っているのかが、見えてくることがあるのです。
ここでは、エニアグラムの9タイプに基づいて、「親自身のタイプ」から見た子育てのヒントをご紹介していきます。
今回は【タイプ2の親】について。気質の特徴や接し方のポイント、タイプごとの子どもとの関わり方まで詳しく見ていきましょう。
エニアグラム・タイプ2の親の特徴と価値観
タイプ2の親は、愛情深く、子どもへの思いやりにあふれる人。
子どものために何かをしてあげること、自分が必要とされることに喜びを感じるタイプです。
「あなたのために」「困ってるなら手伝うよ」
そんなふうに、自然と子どもに寄り添い、支えようとします。
良いところと気をつけたいところ
良いところ
- 子どもの気持ちに敏感で、すぐに助けに動ける
- 優しさにあふれた温かい関わりができる
- 子どもに「愛されている実感」を与えられる
気をつけたいところ
- 子どものために尽くしすぎて、子どもの自主性を育みにくくなる
- 「してあげたい」気持ちが強すぎると、子どもの力を信じられなくなることも
- 親の期待に応えようと、子どもが“いい子”を演じてしまうことがある
特に、「あなたのためを思っているのに」「これだけやってあげてるのに」という思いが強くなると、子どもが親の愛に応えきれずに、息苦しさを感じてしまう場面があります。
ときにその関わりが深くなりすぎると、子どもにとっては「過干渉」や「ホバリングペアレンツ」として感じられ、「ちょっと離れていてほしい」と思われてしまうことも。
どんなに愛情からの行動でも、子どもが望む距離感は一人ひとり違うということを意識して、信じて見守る」というスタンスを心がけることが大切です。
「お母さん(お父さん)は、私が自分で決めるとうまくいかないって思ってるのかな…」そんなふうに、子どもが感じてしまうこともあるのです。
こうした距離感への気づきが、子どもにとっての「信じてもらえている感覚」を育てていきます。
子育てでしがちな声かけパターン
- 「何か困ってる?ママがやってあげるよ」
- 「ちゃんとできてる?手伝おうか?」
- 「こんなにしてあげてるのに、どうして言うことを聞かないの?」
こうした声かけの背景には、タイプ2の親ならではの「愛」があります。無意識のうちに、子どもの領域に入り込みすぎてしまうこともあるのです。
タイプ2の親自身への心がけ
タイプ2の親は「愛されたい」「役に立ちたい」という気持ちを土台に、子どもに深く寄り添うことができます。
でも、してあげることが必ずしも「愛が伝わること」ではないという視点も大切です。
子どもにとっての栄養は、「信じてもらっている感覚」。
親が一歩引き、「見守る」という関わり方を身につけていくことが、子どもにとっての大きな成長の後押しになります。
自分が手を出さなくても、子どもには育つ力がある。
そう信じて、「見守る愛」「待つ愛」も練習してみましょう。
そして何より、親自身が「愛されることをがんばらなくていい」「何もしなくても私は愛されている」と感じることが、子どもに「無条件の愛」を体感させる土台になります。
自分の満たされなさに気づき、自分を大切にする時間を持つこと。
その心の成長が、子どもに本当の自由と信頼を与えてくれます。
タイプ別:子どもとの関わりヒント
タイプ1(ちゃんとしたい子)へ
「自分でやりたい」気持ちが強い子。親の手助けが多すぎると、完璧主義を強化してしまうことも。
「やってみたかったよね」「大丈夫、信じてるよ」と任せてあげて。
タイプ2(やさしい子)へ
相手の期待に応えようとする子。親の世話焼きに合わせて“いい子”を演じてしまいがち。
「あなたはどうしたい?」「イヤって言ってもいいよ」と自己主張を促して。
タイプ3(がんばる子)へ
成果を重視する子。親が先回りすると、自立のチャンスを奪ってしまうことも。
「自分でできたね」「そのプロセスが素敵だったよ」と結果より気持ちに注目を。
タイプ4(繊細な子)へ
感情豊かで繊細な子。親の気持ちに敏感すぎて、自分の感情を抑える傾向も。
「どんな気持ちだった?」「そのままでいいよ」と受け止める姿勢を。
タイプ5(観察する子)へ
自分の世界を大切にする子。親の距離が近すぎると閉じこもってしまうことも。
「そばにいるからね」「いつでも話してくれていいよ」と、安心をもって距離を保つ。
タイプ6(しっかりしたい子)へ
信頼関係を重視する子。親の愛情がブレると不安になりやすい。
「あなたの味方だよ」「どんな時も一緒にいるよ」と安定した関わりを。
タイプ7(たのしむ子)へ
楽しいことが大好きな子。親が「心配だから」と制限すると、反発が出やすい。
「いいね!やってみよう」「困ったら一緒に考えようね」と好奇心を応援するスタンスを。
タイプ8(パワフルな子)へ
強さや自立を重んじる子。親の過干渉は対立を招くことも。
「あなたに任せるよ」「頼ってくれてもいいんだよ」と信頼と自由をバランスよく。
タイプ9(おだやかな子)へ
自分の気持ちを後回しにしやすい子。親の愛情を優先して、自分の意見を飲み込むことも。
「本当はどうしたい?」「あなたの気持ちも大事だよ」と、自分軸を育てる声かけを。
まとめ
タイプ2の親は、深い愛情と献身で子どもを支える温かな存在です。一方で、「がんばって愛そう」とするほど、子どもが本音を出しにくくなることがあります。
ときには立ち止まり、「これは本当に子どものためか、それとも自分の安心のためか」を問い直してみましょう。自分を満たす時間や、自分の気持ちを優先する日を持つことは、わがままではなく、健全な自己管理です。
親が「愛されている安心感」を持てれば、自然と「信じて見守る愛」も育ちます。この姿勢は、家庭だけでなく職場でも同じ。過剰なサポートを減らし、相手を信頼して任せることが、相手の自立と信頼関係を育てる土台となります。
他のタイプの親や子についても知りたい方は、こちらのまとめ記事をご覧ください。