「子どもにとって良い親でありたい」
そんな想いは、すべての親に共通するものです。
でも、どんなに愛情を注いでも、なぜかうまく伝わらなかったり、衝突してしまったりすることはありませんか?
実はその背景には、「親の気質」が大きく関わっているかもしれません。
そんなときこそ、エニアグラムの視点が役立ちます。自分がどんな価値観や考え方を持って子育てに向き合っているのかが、見えてくることがあるのです。
ここでは、エニアグラムの9タイプに基づいて、「親自身のタイプ」から見た子育てのヒントをご紹介していきます。
今回は【タイプ5の親】について。気質の特徴や接し方のポイント、タイプごとの子どもとの関わり方まで詳しく見ていきましょう。
エニアグラム・タイプ5の親の特徴と価値観
タイプ5の親は、思慮深く、冷静で、知的好奇心に富んだ気質を持っています。感情よりも思考を重視し、物事を論理的に理解し、伝えたいと考える方が多いでしょう。
「正確に伝えたい」
「ちゃんと理解させたい」
そんな姿勢で、子どもにも知識や考え方を丁寧に教えようとします。無駄のない関わりを大切にしながらも、内には深い愛情を秘めている、控えめで誠実な親です。
良いところと気をつけたいところ
良いところ
- 感情に流されず、冷静に子どもと向き合える
- 子どもの「なぜ?」に対して、的確に応じられる
- 自立を尊重し、無理にコントロールしない
気をつけたいところ
- 子どもの感情に寄り添うより、説明で納得させようとしがち
- スキンシップや共感的な反応が少ないと、子どもが寂しさを感じることも
- 子どもの話や感情表現を「面倒」と感じて距離を置いてしまう場面がある
とくに「どうしてそうなるの?」「ちゃんと考えてから言ってね」といった対応が多くなると、子どもは「気持ちをわかってもらえない」と感じ、心を閉ざしてしまうことがあります。
子育てでしがちな声かけパターン
- 「感情で動くより、ちゃんと考えて」
- 「落ち着いて説明してくれないと分からないよ」
- 「なんでそんなに騒ぐの? 理由を教えて」
これらの声かけは、子どもを論理的に育てたいという意図から来るものですが、時に「気持ち」よりも「思考や理解」の方を優先してしまいがち。
すると、子どもが感じていることが受け止められず、愛情を実感しにくくなることがあります。
タイプ5の親自身への心がけ
タイプ5の親は、子どもの自立や知的な成長を支える上で、とても頼もしい存在です。
ですが、子どもにとって必要なのは「知ること」だけではなく、「感じてもらうこと」も含まれます。
言葉にならない想いや、理屈のない感情にも、耳を傾けてみてください。
「どうして泣いてるの?」「理由は何?」と考えるより、「悲しかったんだね」「うれしかったんだね」とただ受け止めることが、何よりの支えになります。
そして、自分自身にも「感じる」体験を許す時間を。合理性を手放すのは難しくても、親としての温かさは、説明なしに伝わっていくものです。
「理屈ではない関わりも、ちゃんと意味がある」
そう信じて、子どもと感情を共有する時間を少しずつ増やしてみてください。そのつながりこそが、子どもの安心感や信頼の土台になります。
タイプ別:子どもとの関わりヒント
ここからは、タイプ5の親がタイプごとの子どもに接する際のヒントをご紹介します。
タイプ1(ちゃんとしたい子)へ
まじめでルールを重視する子。親の合理的な説明が強すぎると、完璧主義が加速することも。
「がんばってるね」「少し休んでもいいんだよ」と緩める関わりを。
タイプ2(やさしい子)へ
愛情に敏感で、共感を求める子。親の淡白な反応に「嫌われてるのかな?」と感じやすい。
「うれしいよ」「ありがとう、助かったよ」と温かい言葉を意識して。
タイプ3(がんばる子)へ
成果や称賛を求める子。親の興味や関心が薄いと感じると、空回りしてしまうことも。
「それいいね!」「がんばったね」と目を向けるリアクションを。
タイプ4(繊細な子)へ
繊細で感情の波がある子。理屈でのアプローチは、心の深い部分に届きません。
「その気持ち、大事だね」と共感を優先して関わることが大切。
タイプ5(観察する子)へ
自分の世界を大切にする子。似た者同士で分かり合いやすいけれど、放っておくと孤立してしまうことも。「一緒にやってみよう」「考えてること、聞きたいな」と、適度な関心を。
タイプ6(しっかりしたい子)へ
不安が強く、安心を求める子。親の冷静さが、逆に「冷たい」と映ることも。
「大丈夫だよ」「一緒にいるよ」と言葉で安心感を届けましょう。
タイプ7(たのしむ子)へ
楽しいことが好きで、活発な子。親があまりに静かだと、退屈さを感じてしまうことも。
「おもしろそう!」「それってどんな感じ?」と好奇心で応える姿勢を。
タイプ8(パワフルな子)へ
力強く自己主張する子。理屈で抑えようとすると反発されがち。
「あなたの考え、聞かせて」「一緒に作戦を立てよう」と対等な関わりを意識して。
タイプ9(おだやかな子)へ
穏やかで控えめな子。親が干渉しすぎないのは合っているけれど、放っておかれたと感じることも。「どうしたい?」「あなたの声、聞かせてね」と気にかけることを忘れずに。
まとめ
タイプ5の親は、子どもに「考える力」や「静けさの価値」を自然と伝えられる、大切な存在です。
でも、時には「言葉にならない気持ち」にも目を向けて、心の交流を意識してみましょう。
そして、親自身が「ちゃんと説明しなくても、つながっていい」と思えること。
その信頼の感覚が、子どもにとって何よりの安心になります。
子どものタイプを知ることで、「なぜ伝わらないのか」が見えてきます。
そして、自分のタイプを知ることで、「なぜそう接してしまうのか」も見えてきます。お互いの気質を理解することは、子育てにおける“心の通訳”を手に入れるようなもの。
まあるい関係性への第一歩を、ここから始めていきましょう。
他のタイプの親や子についても知りたい方は、こちらのまとめ記事をご覧ください。