子どもの頃の反応パターンでわかる|エニアグラムタイプ診断のヒント

子どもの頃の反応パターンでわかる|エニアグラムタイプ診断のヒント

エニアグラムのタイプは、大人になっても変わりません。

ただ、社会に出ると後付けの習慣や役割が重なり、素の反応が見えにくくなります。

だからこそ、子どもの頃〜20歳前後までの性格や行動には、その人の気質が色濃く表れます。

学校生活での人との関わり方、からかわれたときの反応、仲間との距離感――。そうした場面に、あなたの「気質のベース」がくっきり現れます。

本記事では、ある小学生のエピソードをもとに、9タイプそれぞれがどんなふうに反応するのかを解説します。

学生時代に思いをはせながら、ご自身のタイプを探ってみませんか?

センターとは? ― 心の反応の土台

脳神経外科医・林成之氏によれば、人間の脳には「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という3つの本能が備わっています。

この3つのバランスが取れているとき、人は精神的に安定します。

  • 本能センター(タイプ8・9・1)
    =「生きたい」
    体感覚や生存本能、支配関係に敏感。怒りや安全確保が反応のベース。
  • 感情センター(タイプ2・3・4)
    =「仲間になりたい」
    人とのつながりや承認への感受性が高く、孤立や拒絶を恐れる。
  • 思考センター(タイプ5・6・7)
    =「知りたい」
    情報や計画、安全確保への意欲が強く、不安を先読みする。

この違いが、「何に敏感に反応するか」「どんな体験が心に残りやすいか」に大きく影響します。

この「3つのセンター」は、エニアグラムの基本構造である「9タイプ」の土台にもなっています。

タイプの分かれ方や、なぜ3つのグループになるのかが気になる方は、こちらの記事も参考になります。
3つのセンター×3つの対人反応で見る「9タイプ」構造──性格ではなく反応を見る

また、そもそも「エニアグラムとは?」という方には、こちらの記事がおすすめです。
エニアグラムとは?人間力を高める「反応構造」理解のフレームワーク

【エピソード紹介】からかわれたとき、どう反応する?

ここで、気質がはっきりと感じられるエピソードをご紹介します。

あるタイプ8の男性の小学生時代のエピソードです。

転校先の学校で、男の子たちから小突かれたり、ちょっかいを出されたりするようになりました。いわゆる異物排除の空気です。

どこまでやれば怒るのか、反応を試されている、そんな空気だったそうです。

だからといって、すぐにやり返すわけでもなく、しばらく無視を貫きました。内心で「ここで感情を見せたら負けだ」と冷静に相手を観察しながら、静かにタイミングを待っていたのです。

そしてある日、後ろから頭をはたいてきた男の子に対し、一瞬のうちに胸ぐらをつかみ、思いきり頭突きをくらわせました。相手の子は鼻血をたらり。

「こいつ、やりやがる」

それが周囲に伝わったのでしょう。その日以降、彼にちょっかいを出す子は一人もいなくなりました。

タイプ8の「威厳」が、静かに、しかし確実に発動した瞬間でした。

このエピソードには、本能センター(特にタイプ8)の気質がよく表れています。タイプ8は、「自分がやられるくらいなら、先に力で制する」ことで、自分の尊厳と安全を守ろうとします。

尊厳や力関係に敏感で、それを脅かされると強い反発心と行動力で跳ね返すのです。

一方、もし私(感情センター)がそんな嫌がらせを受けたらどう反応したか?

きっと、「私は嫌われてるんだ」と心が沈み、ふさぎ込んでしまっていたことでしょう。

感情センターにとって、「仲間として受け入れられること」は生きるうえでの生命線です。それが断たれることは、存在そのものを否定されたように感じられます。特に、孤独感を深めやすいタイプ4には、深刻な痛みとなって残ります。

同じような出来事に対しても、センターによって「心の痛みの質」はこれほど違うのです。

センター別に見る ― 同じ出来事でもこんなに違う反応

それでは先ほどのエピソード(転校先でのちょっかい・からかい)をもとに、各センター・タイプがどのように受け取り、反応するのかを考察してみましょう。

本能センターの反応 「支配か、服従か」

タイプ8(真剣勝負の人)

「やられるくらいなら、先にやる」

自分の尊厳や力を試されたと感じた瞬間、相手に「一線を越えるな」というメッセージを行動で示します。
エピソードの通り、感情はあえて見せずに抑え、決定打を冷静に打つスタイルが特徴です。

タイプ9(平穏を愛する人)

「波風立てたくない、気配を消してやりすごそう」

嫌な状況でも表立って怒らず、なるべく相手を刺激せず、争いを避けようとします
無視してやり過ごそうとするものの、心の中にはじんわりと不快さが残ることも。

タイプ1(信念を貫く人)

「これはルール違反、でも感情では動かない」

内心では「こんなの間違ってる」と強い怒りを感じつつも、自分の中の理想や規律に照らして冷静に対処しようとする
「先生に相談すべきか?」「大人としての対応を」と自制心が先に働くタイプです。

感情センターの反応 「人としての価値を否定されたように感じる」

タイプ2(心を配る人)

「嫌われてしまった…何か私が悪かったのかな」

人間関係の温度変化にとても敏感。
ちょっかいを受けたとき、「私は好かれていない」「役に立っていないからかな」と自分を責めたり、関係を取り戻そうと努力する傾向があります。

タイプ3(成功を追求する人)

「弱く見られた?それは屈辱だ」

外からの評価に敏感なタイプ。
ちょっかいは「バカにされた」「格下に見られた」と感じ、自分を強く見せ直す行動(成功・成果)で挽回しようとすることが多いです。

タイプ4(本物を探す人)

「どうせ自分は浮いてるんだ…」

違和感や排除の空気に「自分だけが異質」という深い孤独感を重ねてしまいやすいタイプ。
心に傷が残りやすく、感情を内側で深く味わう傾向があります。

思考センターの反応 「この状況、どう乗り切る?」

タイプ5(静かに探求する人)

「なぜ自分が?状況をもっと観察しよう」

感情を一歩引いて見ようとするタイプ。
「なぜ自分に向かってきたのか」「どう動くべきか」と感情よりも分析を優先し、距離を取って静観する傾向があります。

タイプ6(信じる場所を探す人)

「これ以上ひどくなったらどうしよう…」

不安や警戒心から、「この状況にどう対処すれば安全か?」と周囲を見回し、助けを求めたり、信頼できる味方を探そうとする傾向があります。
従うか、抵抗するかは状況次第で大きく揺れます。

タイプ7(自由を愛する人)

「気にしない!楽しいこと考えよう」

深刻な感情にとらわれる前に、「笑って流す」「気分転換する」ことでやり過ごそうとします。
しかし内心では、「ちょっと傷ついたな」とモヤモヤを残すこともあります。

傷つき方にも「気質の違い」がある

同じように見える出来事でも、人が何に反応し、何に傷つくかはタイプによってまったく異なります

  • 本能センターは、「支配関係」「体の感覚」で反応する
  • 感情センターは、「他者からの評価」「受け入れられているか」で揺れる
  • 思考センターは、「今後どうなるか」「どう守るか」を考える

どれが良い・悪いではなく、それぞれの気質の反応が現れているだけ。

「自分や相手がなぜそんなふうに反応するのか」がわかると、不要な誤解や自己否定も減っていきます。

あなた自身のセンターはどこにある?

あなたにあてはまる反応はありましたか?

子どもの頃の反応パターンは、大人になった今も形を変えて続いています。もし学生時代のあなたと今のあなたに共通する点があれば、それがあなたのタイプの手がかりです。

まずは「過去を振り返る」という自己理解のアプローチから始めてみてください。

そこから、今の人間関係や仕事での反応にも、新しい気づきが得られるはずです。

サービス案内
ABOUT US
みずさゆ産業カウンセラー | 社会保険労務士
人と組織の可能性は、「気質」への理解からひらかれる。経営やマネジメントにおいて、最も難しく、同時に最も影響力のあるテーマは「人」です。 数字や戦略だけでは動かない組織において、リーダーのあり方こそが、周囲を動かす原動力となります。EnneaLabでは、「9タイプの気質理解(エニアグラム)」を軸に、リーダー自身の自己理解と、組織における人の活かし方を支援しています。